円債は超長期国債を平準買い、年度では残高減=明治安田生命・下期運用計画
ロイター / 2024年10月23日 14時10分
明治安田生命保険は2024年度下期の一般勘定運用について、超長期国債を中心に円建て債券を平準買いで積み増す計画を示した。写真は日本の1万円札。東京で22年撮影。(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
Tomo Uetake
[東京 23日 ロイター] - 明治安田生命保険は2024年度下期の一般勘定運用について、超長期国債を中心に円建て債券を平準買いで積み増す計画を示した。ただし上期の国債償還が多かったことから、年度全体では残高減少を見込む。
北村乾一郎・運用企画部長が23日、資産運用方針説明会で明らかにした。
このうち円金利資産の核となる円建て債券は、金利リスク削減と長期安定的な利息配当金収入の確保に向けて、20年物と30年物を中心に超長期国債を積み増す。買いペースに緩急をつけない「平準買い」を基本とする。
金利が上昇した局面では積み増す方針だが、足元で2.22%近辺の利回り水準にある30年国債に対する投資目線について、北村氏は日銀の政策の方向性が利上げであるとした上で「非常に平準的なペースで買い入れを行う程度。今のところ、この水準で大量に買い入れる想定ではない」と述べた。
明治安田生命では上期も平準ペースでの円債投資を実施したが、償還が多かったことから残高が減少した。下期は国債償還の規模がそれほどではないため、平準買いを行えば半期ベースの残高は増加する見込みだが、上期と合わせた年度全体では円債残高は「やや減少」するという。
北村氏は「デュレーションの長いものを大量に買ってしまうと国内金利リスクが上昇し、リスク管理上好ましくない。われわれは今までのように25年度導入の新規制(経済価値ベースのソルベンシー規制)対応でやみくもに買うスタンスはとらない」などと述べ、「円金利一辺倒ではない」姿勢を強調した。
日銀の金融政策見通しについて、同社では「非常に緩やかなペースで、金融環境を見ながら慎重に利上げをしていくと思う」として、今年度はせいぜいあと1回、0.5%への利上げがあると想定。タイミングは「円安や米国など環境次第で日銀が決めること。12月か1月か3月かだが、決め打ちはしない」(北村氏)という。
外債のうち為替ヘッジ付きソブリン債は、高水準のヘッジコストを受けて新規投資を抑制して残高横ばいとする方針だが、上期はオープン外債からヘッジ外債への入れ替えにより残高が増えたため、年度ベースでは残高増加を見込む。
一方、為替オープンのソブリン債は、為替や金利の水準次第だが、現時点では残高の増減を見込まない。ただ上期は残高が減少したことから、年度ベースでは残高は減少する見通し。
またヘッジ付きの海外クレジットは、自社のニューヨーク拠点での直接投資を含めてインハウスで、スプレッドの取れる米国を中心に資産を積み増す。
ドル/円のヘッジコスト(3カ月物の為替予約)について、同社は年度末時点で4.60%(上期末実績は4.75%)との想定を示し、「日米金利差縮小により着実に低下していく」(北村氏)との見方を示した。
外国投信がメインとなる外国株式は、こちらも自社のニューヨーク拠点を活用してインハウス運用で取り組むほか、外部委託運用で海外プライベート・エクイティ(PE)を中心に積み増し、残高増加を見込む。
一方、国内株式についてはトータルリターンの向上につながる銘柄入れ替えを実施するが、上期に続いて残高は減らす方針。
このほか投資用不動産は、市況を見極めながら大都市圏を中心に優良物件を厳選して積み上げ、残高を増やす計画。
明治安田生命の一般勘定の資産残高は、3月末時点で46兆8232億円。うち外貨建て資産は14兆9120億円(31.8%)。
2024年度下期の相場見通し(レンジと年度末中央値)は以下の通り。
日本国債10年物利回り 0.80―1.40%(1.00%)
日本国債30年物利回り 非 公 表 (レンジ上限は2.50%)
米10年国債利回り 3.40―4.80%(3.80%)
日経平均株価 3万5000―4万3000円(3万6000円)
NYダウ 3万6000─4万3000ドル(3万8000ドル)
ドル/円 132―150円(135円)
ユーロ/円 142―162円(145円)
(植竹知子)
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