ホンダと日産、経営統合へ協議開始 26年8月に持ち株会社上場
ロイター / 2024年12月23日 20時55分
12月23日、ホンダと日産自動車は経営統合に向け協議・検討を開始することで合意したと発表した。写真は都内で記者会見する日産の内田誠社長とホンダの三部敏宏社長(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
Nobuhiro Kubo Maki Shiraki
[東京 23日 ロイター] - ホンダと日産自動車は23日、経営統合に向けた協議・検討を開始することで基本合意したと発表した。2026年8月に共同持ち株会社を設立し、両社が完全子会社となる。日産が筆頭株主の三菱自動車工業も持ち株会社への参画を検討する。
ホンダと日産は持ち株会社への株式移転比率を算定するなどし、25年6月の最終合意を目指す。持ち株会社の取締役は社内・社外ともホンダが過半数を指名し、経営トップはその中から選ぶ。持ち株会社は設立時に東証プライム市場上場を想定し、両社は上場廃止となる。各社の持つブランドは維持する方向で検討する。
電気自動車(EV)が中長期的に普及するとみる中、米テスラや中国の比亜迪(BYD)など新興EV専業メーカーがすでに台頭。ホンダと日産は電動化・知能化を実現する開発費用を単独で負担しつつ、競争を勝ち抜くのは困難との強い危機感から統合協議入りを決めた。
中国を除く主力市場では、足元でEVの成長が減速、ハイブリッド車(HV)の需要が拡大している。両社は統合により規模拡大のメリットを享受しながら、当面続くEVとHVの二重投資を軽減し、事業効率向上を狙う。
ホンダの三部敏宏社長は会見で、経営統合が実現した場合、「速やかに相乗(シナジー)効果を発揮する」と説明。車台共通化などによる規模のメリット、研究開発機能の統合、生産体制・拠点の最適化などを通じてシナジー効果1兆円以上、売上高30兆円、営業利益3兆円超を目指すとした。
三部社長はまた、今回の統合検討は「日産の救済ではない」と指摘。ホンダ自らが30年時点で「競争力を持つために検討を始めるもので、日産のターンアラウンド(業績改善計画)の実行が絶対的な条件だ」と強調。「自立した2社でなければ、経営統合の成就はない」と言及。その上で「合理化ありきではなく、最適化ありき」とし、両社のブランドや企業価値を上げるためのシナジーを実現する、と述べた。
日産の内田誠社長は、経営統合に関して「どちらが上でも下でもなく、ともに未来を切り開く仲間として互いの立場や違いを尊重し、透明性を持って議論を重ね、信頼関係を構築する」ことが重要との認識を示した。自らの経営責任については「ターンアラウンド計画にコミットしている。例えば26年に(販売が)350万台でも、きちんと利益が出るような会社にすることが私の責務であり使命だ」と語った。
三菱自は25年1月末をめどに持ち株会社への参画検討の結果を出す予定。同社の加藤隆雄社長は、車の電動化・知能化などに必要な「多額の投資や開発リソースを単独で確保するのは困難。当社にとって日産とホンダとの共有は将来の競争力の源泉となる極めて重要なもの」とし、「方向性は前向きに捉えている」と述べた。三部社長は1月末の時点で可能性が見えてくるとして、統合についても何らかの判断をしたい、と語った。
内田社長は、日産の筆頭株主で連合を組む仏自動車大手ルノーとの協業に関して、「引き続きプロジェクト別にシナジー効果があれば」継続すると説明。ホンダも、米ゼネラル・モーターズ(GM)とは「いろんな協業の可能性を個別にしている。この(経営統合検討の)話があるからといってGMとの関係を変えることは全くない」(三部社長)とした。
経営統合検討を巡っては、台湾の鴻海精密工業がルノーから日産株の取得を目指しているとも伝えられ、ホンダとの協議開始は鴻海による買収を阻止するためとの見方もあるが、内田社長は、鴻海から「アプローチされた事実は一切ない」と語り、三部社長も今回の協議入りは「あくまでも2社で決めた」と話した。
<ホンダ、1.1兆円の自社株買い>
ホンダは同日、発行済み株式の23.7%に当たる11億株・1兆1000億円を上限とする自社株買いを決議したと発表した。取得期間は25年1月6日から同12月23日まで。
日産との統合協議に入り、機動的な株主還元が制約されることから、1兆円を超える自己株を一括で取得することを決めた。
三部社長は会見で、「課題としていた過去から積み上がった自己資本の適正化」と説明。「財務基盤の強さは十分あるし、稼ぎの源泉であるハイブリッド車や二輪車の仕込みも完了しており、これでも十分やっていけるという自信の表れと受け取ってほしい」と述べた。
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