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「祖父」「父」の思いにも言及=天皇陛下、日英関係の発展願う―晩さん会

時事通信 / 2024年6月26日 10時9分

 【ロンドン時事】「祖父」は日英両国の人々が心を開いて話し合うことを切に希望し、「父」は両国民が真に理解し合う努力を続けることを切に念願していました―。25日夜、バッキンガム宮殿で開かれたチャールズ英国王夫妻主催の晩さん会は、華やかな雰囲気で行われた。戦争の傷痕が色濃く残っていた昭和。和解への道を開いた平成。天皇陛下は英語で述べたあいさつの中で、過去2代の天皇の思いにも触れ、日英関係のさらなる発展を願われた。

 昭和天皇は1971年10月、香淳皇后と訪英。晩さん会でエリザベス女王は「両国民間の関係が常に平和であり友好的であったとは偽り申すことができません」と戦争に言及した。一方で昭和天皇は、50年前の訪英時にジョージ5世と会った思い出に触れ、日本が英国から多くのことを学んだと強調したが、戦争には触れなかった。

 滞在中、王立植物園に記念植樹した日光産のスギが根元から切り倒され、塩素酸ナトリウムが掛けられる事件が発生。その後、オランダなどを訪れ帰国した際は「真に国際親善の実を挙げ、世界の平和に寄与するためには、なお一層の努力を要することを痛感しました」と述べた。

 日英関係の進展に大きな役割を果たしたのは、上皇ご夫妻だった。平成時代、ご夫妻の訪英に3回随行した前侍従次長の佐藤正宏さん(83)は、即位後初だった98年の訪英を「日英関係にとって一つの区切りだった」と語る。

 同年5月26日、ご夫妻は女王夫妻とそれぞれ馬車に乗り、バッキンガム宮殿までパレードした。沿道では元捕虜らが背中を向けて抗議していた。馬車列の中にいた佐藤さんも「何が起きるか分からない」と緊張。同乗していた駐日英国大使からは「スマイル」と声を掛けられた。

 続いて訪れたウェストミンスター寺院の前にも、元捕虜らが集まっていた。ご夫妻は「無名戦士の墓」での供花を終えて寺院を出ると、元捕虜らを見詰め、優しくうなずいた。その場にいた佐藤さんは「皆さんの気持ちは分かっていると伝えられているようだった」と受け止めた。

 上皇さまはこの日、女王夫妻主催の晩さん会で「戦争により人々の受けた傷を思う時、深い心の痛みを覚えます」と述べた。女王は「英国は、日本にとって晴れの日だけの友人ではなく、本当の友人」と応じた。

 「関係を修復したいという上皇さまのお気持ちがお言葉に表れていた」と佐藤さん。上皇さまが53年の戴冠式に参列して以来、女王と親しく交流してきたことに触れ、「お二人の関係が礎となり、女王も和解へと努力され、両国間のわだかまりは解けていった」と振り返った。 

[時事通信社]

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