有権者、移民増に不安募る=極右躍進の背景―仏総選挙
時事通信 / 2024年7月2日 15時25分
【パリ時事】7日に決選投票が行われるフランス国民議会(下院、定数577)選挙で、反移民を掲げる極右野党・国民連合(RN)は第1党に躍進する勢いだ。左派や中道、保守陣営から「ファシスト」「差別主義者」と非難され続け、それでも支持を広げる背景には、増加の一途をたどる移民に対する有権者の不安がある。
「フランスは信じられないほど外国人が増えた。犯罪も多い」。6月30日に実施された下院選の第1回投票で、パリ郊外の投票所を訪れた高校教諭のミシェルさん(63)は、移民・治安が総選挙の争点だと断言した。
仏国内の移民は2022年、人口の1割強に当たる推計700万人に達した。半数近くは旧植民地のアルジェリア出身者らアフリカ系だ。17年以降のマクロン政権下、移民は毎年20万~30万人が流入。過去20年間で約250万人増加した。
23年の世論調査では「フランスは外国人が多すぎる」という回答が全体の66%を占めた。「自分の国にいる気がしない」は64%。RN支持者に限れば、どちらも90%台だ。
一方、内務省統計によると、強盗や住居侵入、車上荒らし、麻薬密売に占める外国人犯罪者の比率が近年上昇。殺人の比率は15~18%でほぼ横ばいだが、全体の件数が増加したため、移民による凶行も多発している印象につながった。
ミシェルさんは「フランスは移民のせいで騒がしくなった。静かな頃が良かった」と話し、小声で「フランス人というのは、私のような肌の色の人間のことだ」とささやいた。
こうした差別感情の中、移民は暮らしている。1年前、パリ郊外で北アフリカ系少年=当時(17)=が警官に射殺される事件が起きた際は、移民らの日頃の不満が爆発。抗議行動は放火・略奪を伴う全国的な暴動に発展し、懸念を深めた有権者が移民・治安対策の強化を求める結果となった。
[時事通信社]
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