ハンガリー首相、ＥＵの警告無視＝ウクライナに無断で訪ロ

　ハンガリーのオルバン首相が５日、ロシアの侵攻が続くウクライナ問題の「仲介者」を自任し、モスクワを電撃訪問した。ハンガリーは今月から欧州連合（ＥＵ）議長国だが、対ロ制裁を科し、「オルバン氏は代表者でない」と警告するＥＵを無視した独自行動。２日に会談したばかりのウクライナのゼレンスキー大統領に無断でプーチン大統領と会い、ロシアに融和的な発言も目立った。

　オルバン氏の訪ロは計画が事前に一部報じられたのみで予告はなかった。プーチン政権は表向きハンガリーが提案した会談と説明するが、ロシアに有利な流れをつくろうと計画に関わった可能性も否定できない。ウクライナ外務省は５日、「ウクライナ抜きでウクライナに関する合意達成はあり得ない」と不快感を示した。

　ウクライナは６月、スイスで開かれたロシア不在の「平和サミット」を主導。プーチン政権は今回、ウクライナを蚊帳の外に置くことで「意趣返し」したとも考えられる。ロシア側によると、オルバン氏は仲介者を自称しながら、ゼレンスキー氏の親書を預かることもなかった。

　「欧州は平和を必要としている」「終戦のための最短方法が何かを知りたかった」。オルバン氏は５日の共同記者発表で訪ロの理由を並べ立てた。プーチン氏は「紛争の完全かつ最終的な終結をロシアは支持する」と主張。短期間で解決する自身の「和平案」として、ウクライナ軍の東・南部４州からの撤退などを改めて要求した。　

［時事通信社］