山上被告、初公判は来年以降か=証拠や争点の絞り込み続く―安倍元首相銃撃から2年・奈良地裁
時事通信 / 2024年7月7日 14時16分
安倍晋三元首相が奈良市内で街頭演説中に銃撃され死亡した事件から、8日で2年。殺人や銃刀法違反などの罪で起訴された山上徹也被告(43)の公判は裁判員裁判で審理される予定だが、事前に証拠や争点などを絞り込む公判前整理手続きが奈良地裁で続いており、初公判のめどは立っていない。弁護団からは年内の開始は難しいとの見方が出ている。
公判前整理手続きは、これまで4回行われた。第1回は当初昨年6月に開かれる予定だったが、地裁に不審物が届く騒ぎがあり、同10月に延期された。山上被告は「裁判所や検察官の考えを感じ取れる」という理由から、第2回以降は全て出席。「あっさりしている」「興味深かった」などと感想を述べているという。
山上被告は事件直後の奈良県警の調べに「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に恨みがあり、安倍氏が(旧統一教会と)つながりがあると思った」などと動機を供述。奈良地検は鑑定留置して精神鑑定などを実施し、刑事責任を問えると判断して昨年1月に起訴した。公判では動機や生育歴など情状面の評価も争点になるとみられる。
事件をきっかけに、旧統一教会の高額献金や「宗教2世」などの問題に注目が集まり、文部科学省は昨年10月、教団への解散命令を請求。東京地裁で審理が続いている。
起訴状によると、山上被告は2022年7月8日、奈良市の近鉄大和西大寺駅前の路上で、参院選の応援演説をしていた安倍氏に向けて至近距離から手製のパイプ銃を2回発射し殺害したなどとされる。
銃撃現場には7日朝から献花台が設けられ、訪れた人々は遺影を前に手を合わせて冥福を祈った。大阪府東大阪市の事務員島村真弓さん(43)は「2年はあっという間だった。いまだに亡くなったことが信じられない」と残念そうに語った。
現場近くの霊園には、安倍氏の慰霊碑の横に新たに石碑が設置された。訪れた奈良市の会社員井上雅夫さん(53)は「改めてすごいことを成し遂げてきた方なんだなと実感した。天国から見守っていてほしい」と話した。
[時事通信社]
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