受刑者「さん」付けから3カ月=応対時、心情の変化も―専門家「組織風土の改善を」
時事通信 / 2024年7月14日 4時34分
全国の刑務所で受刑者の呼称を「さん」「君」付けに変更する運用が開始されてから7月で3カ月が経過した。当初は刑務官と受刑者双方にとまどいがあったが、開始後は今後への期待感だけでなく、応対時の心情に変化も出始めている。
呼称変更は、2022年8月に発覚した名古屋刑務所(愛知県みよし市)での暴行問題がきっかけで実施された。同刑務所では名字の呼び捨てが一般的で、雑談では刑務官が受刑者を「やつら」「懲役」と呼んでいたことが判明。法務省が設置した第三者委員会が昨年6月にまとめた提言書では、呼び捨てといった上下関係を固定しやすい呼称の廃止が盛り込まれ、4月から全国の刑務所で運用が開始された。
大阪刑務所(堺市)では、呼称変更を知った時を振り返り「正直、驚いた」と話す刑務官もいた。取材に応じた幹部刑務官は開始後も「業務がこれまでと変わったわけではない」としつつ、「年上の受刑者は新卒の刑務官から呼び捨てされることに抵抗を感じていた」と指摘。刑務官と受刑者とのトラブル減少につながるとの期待感をにじませた。
取材に応じた男性受刑者も、当初は「管理される立場なので、違和感を覚えた」と打ち明ける。刑務所内の工場で班長を任され、刑務官から名前を呼ばれることが多いが「相手が丁寧な対応をしてくれたら、こちらも自然と丁寧になっている」と話し、心情の変化や人間関係構築への効果を実感しているという。
第三者委の委員を務めた山口県立大学の水藤昌彦教授(司法福祉)は「刑務官には規律秩序の維持だけでなく、受刑者の社会復帰の支援も求められており、呼称も含めて受刑者との関係性がこれまで以上に重要になっている」と指摘する。提言書では、受刑者の特性に応じた組織的な処遇など体制充実も求めており、水藤教授は「さらなる組織風土の改善が必要だ」と訴えている。
[時事通信社]
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