大規模緩和と消費増税、当事者に聞く=日銀の14年上半期議事録(下)
時事通信 / 2024年7月16日 17時44分
◇内需主導の「2%」に難しさ
白井さゆり・元日銀審議委員(慶大教授)
―2014年4月の消費税増税の影響をどうみていたか。
駆け込み需要を除けば消費の基調は弱いのではないかと14年初めから発言していた。反動をかなり意識していた。
―自身は物価上昇率2%の実現は16年度と予想していた。
当初から達成時期の見通しは慎重だった。15年度以降も緩和を継続するという前提で何とか達成可能かもしれないと考えた。ただ、下振れリスクは高いとみていた。
―物価は増税後失速し、2%達成は遠のいた。
円安の進行が一服して横ばいになったこともあるが、やはり原油価格下落の影響が一番大きい。消費税増税が実質消費を大きく落ち込ませたことも確かで、戻るまでには何年もかかった。
―異次元緩和の効果はどの程度あったか。
デフレは払拭した。ただ、消費を拡大し、内需を基にしたインフレ圧力によって2%にするのは困難だった。高齢化して消費性向が高くないこの国では、なかなか難しいところがある。
―今後の金融政策は。
まだ(賃金上昇が物価上昇を促す)「第2の力」が起きておらず、利上げは慎重に進めるのではないか。日銀当座預金に付ける金利の支払いコストを考えても利上げは0.3%程度までだろう。金融政策の正常化は、利上げよりも、ゆっくりと予測可能な形で量的引き締め(QT)を進める方が中心になる。
[時事通信社]
この記事に関連するニュース
-
「異次元緩和」効果を過信=増税後の変調捉え切れず―日銀14年上半期議事録
時事通信 / 2024年7月16日 18時8分
-
大規模緩和と消費増税、当事者に聞く=日銀の14年上半期議事録(上)
時事通信 / 2024年7月16日 17時43分
-
日銀会合、物価2%達成を楽観 2014年議事録で判明
共同通信 / 2024年7月16日 9時26分
-
17年ぶり消費増税、強気の「展望リポート」に3人反対=14年上半期・日銀議事録
ロイター / 2024年7月16日 9時8分
-
消費増税、影響は「想定内」=物価2%達成を楽観、変調見抜けず―日銀14年上半期議事録
時事通信 / 2024年7月16日 8時56分
ランキング
-
1旅客機用の燃料不足で緊急対策 輸送船を増強、運転手確保へ
共同通信 / 2024年7月16日 23時42分
-
2大谷翔平の新居「晒すメディア」なぜ叩かれるのか スターや芸能人の個人情報への向き合い方の変遷
東洋経済オンライン / 2024年7月16日 20時40分
-
3工学系出身者が「先進国最低レベル」日本の"暗雲" エンジニアを育てられない国が抱える大問題
東洋経済オンライン / 2024年7月16日 17時0分
-
4CoCo壱「わずか3年で3回目の値上げ」は吉と出るか 過去の値上げでは「客離れ」は見られないが…
東洋経済オンライン / 2024年7月16日 17時30分
-
5「再配達は有料に」 ドライバーの本音は
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月17日 6時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)