バイデン氏、遅過ぎた決断=米大統領選
時事通信 / 2024年7月22日 9時26分
バイデン米大統領(81)が11月の大統領選からの撤退を表明した。高齢による心身の衰えは、2021年の就任時から内外で懸念を持たれていた。民主党は限られた時間で共和党候補のトランプ前大統領(78)に勝てる候補を立てねばならない。身を引く決断は正しくとも、遅過ぎたと言わざるを得ない。
民主党の戦後の大統領の多くは、ケネディ、カーター、クリントン、最近ではオバマと若く、既成政治の打破を掲げて彗星(すいせい)のごとく現れ、選挙を勝ち抜いた。一方、バイデン氏は再選すれば任期終了時で86歳だった。
にもかかわらず、民主党の次世代を担う政治家が挑まなかったのは、同氏が現職であるのに加え、トランプ氏との因縁に割り込む余地はないとみたからだ。バイデン氏が前回の20年大統領選で「トランプ氏を破った」実績や中間選挙で健闘したことで、民主党は有権者に受け入れられるか吟味することなく「バイデン対トランプ」の再戦に突き進んだ。
おぼつかない動作、かすれた声、物忘れ、数々の言い間違い―。バイデン氏の衰えは顕著だったが、民主党全国委員会は不安や懸念を抑え込むように予備選や党大会のルールを変更し、党候補指名を急いだ。そうした流れと逆行するように、有権者の間ではバイデン、トランプ両氏を嫌う「ダブルヘイター」が増大した。
米大統領選に向けた動きは両党の予備選を含めて、11月の投票日の1年以上前からすでに始まっている。バイデン氏が後継指名したハリス副大統領が仮に党の指名を勝ち取ったとしても、助走期間なしの本選突入となる。
世論調査によると、トランプ氏は激戦州の多くで優勢となっている。民主党が激しく動揺する中で、やはり「高齢で嫌われ者」のトランプ氏が返り咲くことになれば、米政治は堂々巡りに陥る可能性がある。
[時事通信社]
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