南シナ海、緊張緩和は不透明=中比、対話継続も主張に隔たり
時事通信 / 2024年7月26日 23時42分
【ビエンチャン時事】中国の習近平政権は、フィリピンなどと領有権を巡って争う南シナ海問題を巡り、比側との対話を維持する姿勢を見せているが、主張の隔たりは依然として大きい。中国にとって「主権」を巡る問題は「核心的利益」。妥協の余地に乏しく、対話が緊張緩和につながるかは見通せない。
「中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)は運命共同体だ。(協力の)成果は域内20億人の利益になる」。中国の王毅共産党政治局員兼外相は26日、ラオスの首都ビエンチャンでASEANとの会議に臨み、こう強調した。
会議にはマナロ比外相も参加。王氏は、中国との対立点を際立たせるのではなく、「実利」に目を向けるよう訴えた形だ。王氏とマナロ氏は会議後の26日夜、個別に会談した。
フィリピンが実効支配し、中国も領有権を主張する南シナ海のアユンギン(中国名・仁愛)礁では、昨年以降、中国海警局が威圧的な行動を繰り返し、比船舶との小競り合いが絶えない。今年6月には、海警局船との衝突で比軍の兵士が親指を切断する重傷を負った。
中国は強硬姿勢を崩さず、衝突の責任は「完全に比側にある」(海警局)との立場だ。ただ、フィリピンが安全保障面で日米との一体化を進める動きには歯止めをかけたいのが本音だ。フィリピンは習近平政権が統一を目指す台湾に近く、西側諸国と結束を固めれば中国への抑止力となるためだ。
中比は今月に入り、意思疎通を活発化させている。2日にはマニラで、両国の外務次官が南シナ海情勢を巡り連絡方法の改善について協議。21日には、比側によるアユンギン礁の比軍拠点への物資補給活動に関して、両国が暫定的な合意に達したと明らかにされた。
中比当局は詳細な内容を公表していないが、合意に際して中国側は物資補給時の事前通知を要求。比側は「受け入れられない」と反論しており、実効性は不透明だ。
[時事通信社]
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