岸田首相、刷新対話より視察重視=総裁選意識、自民内に批判
時事通信 / 2024年8月1日 19時55分
岸田文雄首相(自民党総裁)が、自ら開催を表明した「政治刷新車座対話」より、地方視察に注力している。9月に想定される党総裁選をにらみ、課題解決への前向きな取り組みをアピールするためだ。ただ、車座対話に消極的な姿勢は、地方組織で相次ぐ退陣論など厳しい声を避けているようにも映り、党内から批判が出ている。
「車座対話の出席者は『われわれの声が政治改革に反映されるのか』と非常に悶々(もんもん)とした思いを持っている」。1日に首相と首相官邸で面会し、車座対話の総括を求める提言を手渡した党青年局の鈴木貴子局長は、記者団に「地方の不満」を代弁した。
提言に対し、首相は「茂木敏充幹事長と(協議して)どう総括していくか決める」と述べるにとどめた。
車座対話は、裏金事件を踏まえた党改革に、地方の声を取り入れるのが狙い。3月の党大会で、首相は「私自身や党幹部が全国に足を運ぶ」と宣言したが、自身の出席は4、5月の熊本、島根、山形3県にとどまる。
背景には、出席者からの風当たりの強さがありそうだ。首相は、初参加の熊本でいきなり「国民の怒りは沸点に達している」との批判に直面。党幹部が足を運んだ岡山では「首相が辞めないといけない」と突き付けられ、神奈川では「県連をなめているのか」と怒号が飛んだ。
車座対話はこれまでに45都道府県で開催。そのほとんどを党幹部に任せる首相の姿勢を、閣僚経験者は「アリバイづくりだ」と断じた。
首相サイドは、車座対話への参加が政権批判の拡大につながることを警戒する。周辺は「車座より今は視察だ」と強調。首相は6月の通常国会の閉会後、山梨県を手始めに農業や半導体、子育てなど幅広いテーマで地方行脚を精力的にこなす。1日も千葉県内の商店街や幼稚園を訪問した。
「車座対話は、本気で取り組めば党勢回復に結び付くが、そうはなっていない。流れは悪いままだ」。党関係者はこう嘆いた。
[時事通信社]
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