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予備校地下に雨水、3人溺死=エリート公務員の夢絶たれる―印

時事通信 / 2024年8月5日 5時31分

 【ニューデリー時事】インドの首都ニューデリー中心部で7月下旬、公務員予備校の地下室に雨水が押し寄せ、自習していた20代の男女3人が溺れ死んだ。地下は自習室としての利用許可を得ていない「違法施設」。インドでは安定した職業として公務員の人気が高く、受験競争が過熱。事故は乱立する予備校に規制が追い付かず、安全性が置き去りになっている実態を浮き彫りにした。

 「私たちが求めるのは正義だ」。事故から1週間がたっても、現場となった予備校前で若者が抗議を続けていた。

 抗議活動に参加した公務員志望のアマン・バルガバさん(28)は「政府は遺族に十分補償し、このような予備校を規制すべきだ」と訴える。事故が起きた予備校に通うビール・シンさん(26)は「3人と面識はなかったが、同じ旅の仲間だった。(抗議は)将来ここに来る後輩のためでもある」と語った。

 事故は7月27日夜に発生。地元報道などによると、約30人が自習していた地下1階に豪雨に伴う雨水が流れ込み、逃げ遅れた21歳と25歳の女性2人、28歳の男性が亡くなった。建物には排水設備がなく、予備校オーナーらが過失致死容疑などで逮捕された。

 3人が目指したインド最難関の公務員試験には毎年100万人以上が応募。倍率は1000倍を超える。中でも最上位のインド行政職(IAS)と呼ばれる中央政府などの幹部候補は年180人程度しか採用されない狭き門だ。試験の厳しさを清朝時代まで中国に存在した官吏登用試験「科挙」に例える声もある。

 それでも、安定した収入と名誉を得るため毎年多くの若者が試験に挑む。受験熱の高まりに伴い、全国で未登録業者も含め予備校が急増。高額な授業料や教員の質の低さも問題となっている。事故を受け、首都圏政府は管内の全ての予備校の設備の確認や教育の質の確保、料金の是正に乗り出す方針を示した。 

[時事通信社]

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