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「私たちを被爆者と認めて」=体験者訴訟の原告団長―長崎

時事通信 / 2024年9月7日 14時28分

 「私たちを被爆者だと認めてほしい」。国が定める援護対象区域外で長崎原爆に遭った「被爆体験者」の岩永千代子さん(88)は、懸命に訴え続けてきた。被爆者健康手帳の交付を求めた訴訟の原告団長として9日の判決で勝訴し、「一刻も早く全員に手帳を」と願っている。

 岩永さんは原爆投下時9歳。爆心地から約10.5キロ離れた場所にいた。母の手伝いで行った畑から帰る途中、強烈な閃光(せんこう)を浴び「やられた、死んだと思った」という。

 その後、髪の毛が抜けたり、歯茎から血が出たりした。「おばけみたいに顔が腫れた」こともあったという。これまでに甲状腺機能低下症や狭心症、糖尿病、変形性脊椎症などに苦しんできた。

 2002年に被爆体験者支援事業が始まり、一部の疾病に医療費が支給されるようになった。しかし、受給認定の基準が厳格化されるなど「国の都合の良いように制度内容はころころと変わり、右往左往させられ、もう裁判しかないと思った」と話す。07年に最初の提訴に踏み切ったものの、最高裁で敗訴が確定した。

 「最高裁は認めなかったが、何としても(放射線による)健康被害の真実を明らかにしないといけない。義務感のようなものがあった」ことから、18年に再提訴した。

 訴訟が続く中、援護区域外で「黒い雨」を浴びた人を被爆者と認めた21年の広島高裁判決が出た際は「トンネルから抜けた」ような明るい気持ちになった。判決が「内部被ばくを否定できないことを立証すれば十分」と示してくれたからだ。

 岩永さんは法廷で、被爆体験者が放射性微粒子で汚染された井戸の水を飲むなどして生活していたことを説明。「内部被ばくによる健康被害の可能性があることは疑いようのない事実だ」と裁判官に訴えた。

 「私が欲しいのは、内部被ばくを否定できないという判決文」。その判決を勝ち取り、内部被ばくの怖さを国内外に広め、「核兵器廃絶に向けて少しでも役に立てれば」と思っている。 

[時事通信社]

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