1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

「飲みに行こう」、かなわぬ約束=募る後悔、元大学事務員―上智大生殺害、9日で28年

時事通信 / 2024年9月8日 19時7分

 上智大4年の小林順子さん=当時(21)=が1996年、東京都葛飾区柴又の自宅で殺害、放火された事件は9日で発生から28年となる。「帰ってきたら絶対飲みましょうね」。同大事務員だった本田由美さん(73)は、留学目前の順子さんと交わした約束を鮮明に覚えている。「時間がたっても記憶が埋もれることはない」という。

 順子さんは新入生と上級生の交流を深める「オリエンテーション・キャンプ」で、3年生の時に会計係を務めた。金庫のあった大学事務室を頻繁に訪れるうち、一緒に酒を飲みに行くほど本田さんと仲良くなった。

 米国留学が数日後に迫った頃、本田さんは事務室を訪れた順子さんに飲みに誘われた。用事があったので断ると「なんだ、つまらないの」と順子さんは寂しそうな表情を浮かべた。「帰ってきたら絶対行きましょうね」。そう繰り返す彼女と再会を約束し、「気を付けてね」と送り出した。

 順子さんの渡米2日前に事件が起き、本田さんは「受け入れられなかった」と話す。「あの時もし行っていたら」「何か話したいことがあったのかな」と、今でも後悔することがある。留学の思い出話を楽しみにしていたがかなわず、「あの日行けなかったことが悔しい。言葉では言い表せない思いがずっと残っている」と語った。

 一方、オリエンテーション・キャンプの担当教員だった東郷公徳教授(60)は、順子さんについて「人懐こくて、照れたような笑顔が印象的だった」と振り返る。出身地が舞台となった映画「男はつらいよ」になぞらえて「葛飾柴又から来た小林順子です」と自己紹介するのが定番で、「誰とでも仲良くなっていた」と語る。

 ジャーナリストを志していた順子さん。1年生の「英文学入門」の授業には、自ら題材を探してリポートを提出するほど熱心だった。「(事件に遭わなければ)国際問題を扱う特派員になって活躍していたのでは」と悔しさをにじませる東郷教授。「なぜ彼女が殺されなければいけなかったのか。一日も早く解決してほしい」と願った。 

[時事通信社]

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください