要人警護、未曽有の厳戒態勢=安倍氏銃撃後初の総選挙―15日公示・警察【24衆院選】
時事通信 / 2024年10月13日 14時12分
衆院選が15日、公示される。安倍晋三元首相の銃撃事件後初の大規模な国政選挙。要人警護を抜本的に見直してきた警察は、かつてない緊張感で警備に臨む。
選挙に伴う要人警護が難しいとされる理由の一つに、警護計画の策定や人員の確保に十分な時間をかけられないことがある。首相など要人の遊説では、会場やスケジュールは直前に決まることが多い。
2022年7月、安倍氏が参院選の街頭演説中に銃殺された事件を受け、警察庁は要人警護の在り方を大幅に見直し、都道府県警任せだった警護計画を事前に審査する仕組みを導入。会場の候補地を警察庁と都道府県警が下見する予備審査も始めた。
ただ、警護内容は会場が同じでも警護対象者や時間帯などによって変わる。「事前審査する警備計画は平時の2倍以上になるだろう」と警察庁幹部。同庁は選挙期間中、担当者を2割程度増員する方針という。
23年4月には岸田文雄前首相が応援に入った演説会場に爆発物が投げ込まれ、警察は事件後、手荷物検査を徹底しやすい屋内会場での演説を原則とするよう政党側へ強く求めてきた。
理解を得るため、都道府県警も政治家側との関係強化を模索。九州地方の県警担当者は「警護予定がない時も小まめに協力を呼び掛け、警護が終わった後は意見交換会を行ってきた」と振り返る。警察庁幹部は「演説を屋内会場にする割合は格段に増えた」と話す。
だが、衆院選ともなると、政治家側は不特定多数の有権者に訴えることができる街頭演説を重視しがちだ。ある自民党関係者は「来場者と十分な距離を取れる広い会場を急に確保するのは難しい」とも語る。
街頭演説の現場では、候補者の近くで立ち止まって聴くことができる人を金属探知検査を受けた場合に限ったり、候補者がグータッチを希望するケースは柵越しに限定したりする対策が行われている。関東地方の県警担当者は「全候補者でできるかは分からないがリスクは減らしたい」と話す。
首相の警護には、警視庁の警護員(SP)を含め数百人規模の人員が必要になり、近隣都道府県警からの部隊派遣も想定される。警護の在り方見直し後初の総選挙に警察庁幹部は「緊張感が高まっている」と気を引き締め、別の幹部は「この選挙のために警護の練度を上げてきた。準備万端だ」と意気込んだ。
[時事通信社]
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