衆院選警護、死角排除に全力=最新機器導入、立体地図も活用―警察当局「失敗許されない」
時事通信 / 2024年10月19日 14時5分
衆院選は公示後、初の週末を迎えた。警察当局は、候補者らが有権者と接近する街頭演説会場での警戒を強めている。国内外で相次いだ要人襲撃を受け、最新機器も導入。高所や後方からの攻撃も想定し、「警備の死角」の排除に力を入れる。「失敗は許されない」。要人警護は正念場を迎えている。
「かばんの中身を見せてください」。公示翌日の16日午後、高松市の中央公園で政党党首の演説会が開かれた。有権者ら約2000人(主催者発表)が詰め掛け、警視庁の警護員(SP)や、応援派遣も含めた多くの警察官が警戒や誘導に当たった。
鉄柵で囲まれた聴衆エリアは、背後に防弾パネルを置いた党首の演説場所から数十メートル離れた場所に設置された。入り口では主催者側の警備員が金属探知機を使った身体検査や手荷物検査を実施。通過した人にはシールが貼られた。不審物探索のため、公園内を歩き回る警備犬の姿もあった。
党首は演説後、街宣車から降りるとSPに囲まれながら聴衆に接近。笑顔で次々と握手を交わし、次の訪問先に向かった。
2022年7月の安倍晋三元首相銃撃、23年4月の岸田文雄前首相襲撃の両事件を機に、警察は最新技術を導入するなどして選挙の警備対策を強化してきた。不審者を把握するため、人工知能(AI)やドローンを活用。警備計画策定時に会場周辺の画像を3D化して立体的な地図を作り、死角の有無も確認するようになった。
元首相銃撃の現場となった奈良市の近鉄大和西大寺駅前では20日、街頭演説が行われる。7月のトランプ前米大統領銃撃事件を受け、奈良県警は高所からの襲撃に神経をとがらせる。聴衆との距離を確保するなどの対策も取るといい、県警幹部は「絶対に事件を起こさせない。あらゆる事態を想定している」と表情を引き締める。
「有権者とじかに触れあってこそ選挙」(地方議員)との声もある中、各地の警察は、握手やグータッチをする場合は手荷物検査に応じた聴衆に限定することや、演説会の屋内開催などを政治家側に求めてきた。警視庁幹部は「万全な警備には陣営との協力が欠かせない」と強調。別の幹部は「今回の選挙は警察の真価が問われている」と覚悟を示した。
[時事通信社]
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