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株主訴訟で巨額賠償命令=刑事は一、二審無罪―福島原発事故の責任問われ・勝俣東電元会長

時事通信 / 2024年10月31日 14時14分

 東京電力の勝俣恒久元会長は2011年に起きた福島第1原発事故を防げなかった責任を、刑事・民事の裁判で追及された。22年7月に東京地裁は株主代表訴訟の判決で、元会長を含む旧経営陣4人の責任を認め、国内史上最高額とみられる約13兆3000億円の賠償を命じていた。

 同訴訟では、勝俣元会長本人への尋問が行われた。同原発の津波対策の必要性を巡り「大事故になるという認識はなかった。情報を上げろとは言わなかった」などと述べていた。

 判決では、09年2月の東電内部会議で、14メートル程度の津波が来る可能性について議論していたと指摘。勝俣元会長らが速やかな対策を講じない担当部署の判断に著しく不合理な点がないか確認する義務があったのに怠ったと判断した。元会長らは判決を不服とし、控訴。二審東京高裁で審理が続いている。

 事故によって地元住民らが死亡したなどとする業務上過失致死傷容疑でも告訴・告発された。捜査した東京地検は不起訴処分としたが、勝俣元会長ら幹部3人について検察審査会が2度にわたり「起訴相当」を議決。16年2月に検察官役の指定弁護士により強制起訴され、刑事責任を問われることになった。

 公判では謝罪しつつ、事故は予見できなかったと主張。禁錮5年を求刑されたが、一審東京地裁は19年9月、予見可能性を否定し、3人全員に無罪を言い渡した。二審東京高裁も23年1月、同様の判断を示し、指定弁護士側の控訴を棄却。事件は最高裁に上告されており、判断に注目が集まっていた。

 株主代表訴訟の原告側代理人を務める河合弘之弁護士は「彼の心中と事故の被害者の思いは食い違いが大きいはずだ。裁判の決着がつくまで生きていてほしかった」と話した。 

[時事通信社]

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