核の惨状に「目を向ける契機」=長崎の作家、元資料館長の青来氏―日本被団協ノーベル賞決定
時事通信 / 2024年11月18日 14時53分
「核兵器のもたらす惨状に目を向けるきっかけになれば」。長崎の爆心地近くで生まれ育った作家で、長崎原爆資料館元館長の青来有一さん(65)=長崎市=は、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)へのノーベル平和賞授賞が決まったことに「いま一度、被爆者の体験を聞き、核抑止論を見直すべきだ」と考えている。
青来さんは、同市の「浦上地区」と呼ばれる爆心地周辺で育ち、両親共に被爆者だ。短編小説集「爆心」など長崎を舞台にした著作が多く、「土地と切り離せない記憶」として原爆を題材にしてきた。「被爆2世だからではなく、今も続く普遍性のある問題として書いてきた」と話す。
来年に控えた被爆80年ではなく、今年授賞が決まったことについては、「ロシアなどで核が戦略の一つとして扱われるようになった。世界に警告を発する意味もあるのでは」と分析する。
資料館長時代、日本被団協の代表委員だった山口仙二さんや谷口稜曄さんらと接してきた。亡くなった2人がけん引した運動を幼い頃から見てきたこともあり、「無理解もあった中、繰り返し地道に語り続け、『核は使ってはいけない』というタブー意識をつくり出してきた。人間として尊敬する」と受賞決定を喜ぶ。
市職員として働きながら小説家デビューし、2010年から約8年4カ月にわたって資料館長を務めた。館内では神妙な面持ちで展示物に見入っていた各国要人や政治家が、核抑止論や核による威嚇を表明するたび、「何を見ていたんだ」と怒りを覚えたという。
授賞決定が「核が使われた時の悲惨さにもう一度目を向け、核抑止論を見直すきっかけになれば」と訴える。「使われた側の痛みを、次の世代に伝えなくてはいけない」との思いを強めている。
[時事通信社]
この記事に関連するニュース
-
来月ノーベル平和賞授賞式 授賞式が行われるオスロに向かう高校生ら決意新たに
広島テレビ ニュース / 2024年11月18日 19時6分
-
平和賞「ゴールではない」=担い手高齢化、記憶継承に課題も―受賞決定の日本被団協
時事通信 / 2024年11月17日 14時1分
-
被爆者、勝利のトランプ氏に訴え 「核兵器ない世界を目指して」
共同通信 / 2024年11月6日 21時20分
-
ノーベル授賞式、約30人出席へ 被団協、田中熙巳さんら
共同通信 / 2024年11月1日 15時53分
-
リアリストが日本被団協のノーベル平和賞受賞に思うこと
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月22日 14時42分
ランキング
-
1「亡くなっても、言葉は残る」 谷川俊太郎さんと親交の詩人ら悼む声
毎日新聞 / 2024年11月19日 19時39分
-
2ほぼ全額を引き出したか…強盗や詐欺などの疑いで少年ら2人を再逮捕 江別市大学生暴行死事件
HTB北海道ニュース / 2024年11月19日 16時31分
-
3「事故現場にいた」事故時、車には4人と判明 高1男子が横転後に逃走 埼玉栄高校グラウンドで生徒が無免許運転し横転で男子生徒死亡事故
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月19日 15時56分
-
4斎藤知事 欠席の意向 次回の百条委の証人尋問 公務都合で
ABCニュース / 2024年11月19日 17時14分
-
5谷川さんを追悼、書店にコーナー ファン「寂しい」、各社で増刷も
共同通信 / 2024年11月19日 19時33分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください