1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

「言葉信用しないから書く」=現代詩の可能性を生涯追求―谷川俊太郎さん死去

時事通信 / 2024年11月19日 9時9分

 「あの青い空の波の音が聞(きこ)えるあたりに 何かとんでもないおとし物を 僕はしてきてしまったらしい」(「かなしみ」)

 平易な言葉で透き通るような叙情を紡いだ谷川俊太郎さん。第1詩集「二十億光年の孤独」から晩年に至るまで、「詩で何ができるのか」と飽くなき追求を続け、現代詩の象徴的存在となった。

 「言葉がうまくつながると、通常の論理や意味を超えて活性化する。言葉は生命体みたいなもの」。少年時代から歴史や物語になじめなかったという谷川さんは「生きることと言葉の関係を書く」ため、過剰な意味から解き放たれた「瞬間芸」の詩に自身を託した。

 目先にとらわれず、宇宙的とも評された世界観は、三島由紀夫や大江健三郎ら最前線の作家に影響を与え、欧米やアジアの詩人との懸け橋にもなった。「現代詩だけを書いていたら食えない。注文があれば子どもの雑誌でも婦人雑誌でも週刊誌でも書く」。ジャンルや硬軟を問わない仕事は、世代を超えて受け入れられた。

 晩年まで意欲は衰えなかった。コロナ下の外出自粛中にも「家でものを書く仕事だから」と苦でもない様子を見せ、非常事態が無意識に及ぼす影響を「詩にするしかない。この年齢になって詩を書くことは『救い』であり、これまでと違うものが書ける期待がある」と前向きだった。

 虚実入り交じる情報がSNSなどで飛び交う状況には「言葉がインフレーションを起こし、みんな自分の主体性に関係なく言葉を使っている」と嘆いた。「言葉を信用していないから、詩を書き続けている」。谷川さんならではのスタンスだった。 

[時事通信社]

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください