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石破首相、拉致でも持論封印=「日朝事務所」、トランプ外交見極め

時事通信 / 2024年11月23日 16時49分

 石破茂首相が、北朝鮮の日本人拉致問題解決に向けた東京と平壌に連絡事務所を設置する持論を封印している。拉致被害者の家族会が反対していることも理由だが、来年1月に就任するトランプ次期米大統領の外交姿勢を見極める狙いもありそうだ。

 首相は23日、東京都内で開かれた北朝鮮による日本人拉致被害者全員の即時帰国を求める「国民大集会」に出席。「首脳による戦略的決断に基づく実行が事態を動かす。先頭に立ち、問題解決に取り組む」と決意を強調した。連絡事務所については言及しなかった。

 首相就任後の10月17日に首相官邸で横田めぐみさん=拉致当時(13)=の弟で家族会代表の拓也さんらと面会した際に、「拉致問題の時間稼ぎに使われる」と反対の考えを伝えられていた。

 トランプ氏は1期目で、金正恩朝鮮労働党総書記と3度にわたる米朝首脳会談に臨んだ。日本政府関係者は「米国の対北朝鮮外交が定まらないと、日本としても動きにくい」と認める。別の関係者は「首相は自らの国際情勢の認識をアップデートする中、あえて連絡事務所に触れないのだろう」と指摘した。

 首相は拉致問題解決に意欲を示すが、日朝関係は厳しさを増している。金総書記の妹である金与正朝鮮労働党副部長は3月、「日本との交渉拒否」を宣言。北朝鮮はウクライナに侵攻するロシアと軍事協力を進めている。日本外務省幹部は「日米韓とロ朝という構図の中で、日朝協議は難しい」と話す。

 首相の政権基盤も足かせになりそうだ。衆院選敗北で求心力が低下し、日朝関係筋は「北朝鮮が石破政権を相手にすることはない」との見方を示した。 

[時事通信社]

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