死刑、2年超執行されず=異例の空白、識者から廃止論
時事通信 / 2024年11月24日 5時39分
国内での前回の死刑執行から約2年4カ月が経過した。近年はほぼ毎年執行されており、2年を超える空白は異例だ。この間に死刑囚だった袴田巌さんの再審無罪が確定し、識者から死刑制度廃止を含めた見直しを求める声が上がる。
死刑は刑法で定められ、法相の命令を受けて絞首により執行される。刑事訴訟法は判決確定から6カ月以内の命令を規定するが、これは「訓示規定」(法務省)と解釈されている。実際には関係記録などの精査に時間を要するのが通例だ。
同省によると、判決確定から執行までの平均期間は12~21年の10年間の執行分で約7年9カ月。今年10月末時点の確定死刑囚は107人に上る。
国内で最後に執行されたのは秋葉原無差別殺傷事件の加藤智大元死刑囚に対する2022年7月の死刑。古川禎久元法相の時代で、その後の葉梨康弘、斎藤健、小泉龍司、牧原秀樹各氏は法相在任中に死刑を命じていない。
死刑執行の空白期間が続いている理由は定かではない。この間、葉梨氏が在任中に「法相は死刑のはんこを押すときだけニュースになる地味な役職」と発言し、法相を事実上更迭された。
23年3月には1966年の静岡一家4人殺害事件で死刑が確定していた袴田さんの再審を東京高裁が決定し、袴田さんは今年10月に再審無罪が確定した。法相経験者の一人は「死刑が執行されない理由は何とも言えない」と語った。
一方、袴田さんの無罪確定を受け、死刑制度の見直し論が再燃しつつある。
与野党の国会議員や元検事総長、元警察庁長官らが参加した「日本の死刑制度について考える懇話会」は今月13日、「日本の死刑制度は現状のまま存続させてはならない」との提言を発表。存廃を含めた「根本的な検討」を求め、結論を出すまでの間の執行停止を提唱した。
法務省の有識者協議会も22日、再審請求中の死刑執行停止を含めた再審制度の議論を始めた。
懇話会によると、世界196カ国のうち、事実上を含めて死刑を廃止した国は144カ国。経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国のうち、死刑制度が残るのは日米韓3カ国のみで、韓国は執行を停止し、米国も連邦レベルでは執行停止宣言を行っている。
ただ、日本政府は死刑廃止に否定的な立場を崩していない。林芳正官房長官は14日の記者会見で「罪責が著しく重大な凶悪な罪を犯した者には死刑を科することもやむを得ない。政府として死刑制度廃止は適当でないと考えている」と語った。
[時事通信社]
この記事に関連するニュース
-
死刑判決の比女性が祖国へ=荷物に麻薬、無罪主張―インドネシア
時事通信 / 2024年11月24日 5時43分
-
再審制度見直し、賛否割れる 法務省の有識者協議会
共同通信 / 2024年11月22日 18時0分
-
【真意は】再審無罪確定の袴田巌さんに静岡地検トップが直接謝罪へ…「どこかで謝罪せざるを得ない」元検察・若狭弁護士の見解
Daiichi-TV(静岡第一テレビ) / 2024年11月21日 18時13分
-
夫婦別姓、広く理解進むのが大事 鈴木法相が就任会見
共同通信 / 2024年11月12日 16時35分
-
日本社会や弁護団にとって袴田冤罪事件はまだ終わっていない
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月26日 15時0分
ランキング
-
1【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
NEWSポストセブン / 2024年11月25日 7時15分
-
2バイクパーツに「打倒県警」 SNSで集まり少人数ゲリラ化 暴走から空ぶかし「コール」合戦に 急増する騒音通報に沖縄県警「検挙は難しい」理由は
沖縄タイムス+プラス / 2024年11月25日 8時30分
-
379歳の男が大家に包丁突きつけ「刺してやる」 ステレオの音が大きいと注意されたことに腹を立て 札幌市
STVニュース北海道 / 2024年11月25日 7時15分
-
4実家は売春宿、ホステスを殺して15年逃亡…「松山ホステス殺害事件」福田和子の壮絶人生(1982年の事件)
文春オンライン / 2024年11月24日 17時0分
-
5「自爆営業」はパワハラ、厚生労働省が防止法指針に明記へ…企業へ対策促す
読売新聞 / 2024年11月24日 21時13分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください