被爆者「核廃絶、心からの願い」=被団協、ノーベル平和賞授賞式―人類の自滅防止、世界に訴え・オスロ
時事通信 / 2024年12月10日 22時6分
【オスロ時事】日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)へのノーベル平和賞授賞式が10日午後1時(日本時間午後9時)、ノルウェーのオスロ市庁舎で開かれ、田中熙巳さん(92)ら代表委員を務める3人の被爆者にメダルと賞状が贈られた。田中さんは講演で核兵器廃絶を「心からの願い」と語った。
日本人の平和賞受賞は1974年の故・佐藤栄作元首相以来50年ぶりで、団体では初。日本被団協が活動の柱にしてきた核廃絶の実現に向けた大きな推進力になる。
式典には、被爆者や被爆2、3世らが出席。ノルウェー王室や要人らが見守る中、同国ノーベル賞委員会のフリードネス委員長(40)は平和賞のメダルなどを田中さんらに手渡した。
田中さんはその後講演に臨み、長崎での被爆体験や、日本被団協の核廃絶に向けた68年間の活動を紹介した上で、「核兵器は一発たりとも持ってはいけないというのが被爆者の心からの願いだ」と強調した。
核兵器を取り巻く世界情勢について、「直ちに発射できる核弾頭が4000発もあり、広島・長崎の数百倍、数千倍の被害が直ちに出ることがある」と指摘。「皆さんがいつ被害者、加害者になるかもしれない」と警告した。
講演の終盤で被爆者が高齢化したことに触れ、「核なき世界」を求める日本被団協の運動を「次の世代の皆さんが工夫して築いていくことを期待する」と語り、「人類が核兵器で自滅することのないよう、核兵器も戦争もない世界を求めて共に頑張りましょう」と呼び掛けた。
講演に先立ち、フリードネス委員長はスピーチで、日本被団協について「さまざまな形で核兵器の脅威を減少させることに貢献してきた」と紹介。核兵器使用は道徳的に許されないとする国際規範「核のタブー」構築への貢献は「他に類を見ないものだ」と評価した。
日本被団協は56年結成。核軍縮に関する国連などの国際会議にも被爆者を派遣し、核廃絶を訴えてきた。2017年、核兵器禁止条約を推進するため共に活動した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)が同賞を受賞した際、田中さんら日本被団協の2人も授賞式に招かれた。
[時事通信社]
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