目標実現、高いハードル=再エネ技術、原発建て替えに課題
時事通信 / 2024年12月17日 18時11分
経済産業省がまとめた次期エネルギー基本計画原案は、2040年度の電源構成で再生可能エネルギーの比率を4~5割程度に引き上げるとともに、原発も最大限活用する方針に転換した。脱炭素化と電力需要拡大の双方に対応する構えだが、再エネは電力供給の不安定さやコストを抑える技術革新がカギを握る。原発建て替えも立地地域の理解が不可欠で、目標実現のハードルは高い。
「太陽光や風力はさまざまな制約要因を抱える。短期的に何倍にもできるのか」。17日に経産省で開かれた有識者会議では、計画の実現性を疑問視する声が上がった。というのも、23年度の再エネ比率は22.9%にとどまり、需要増を踏まえれば発電量は現状の最大3倍の伸びとなるためだ。
国土の約7割を山地が占める日本で、再エネの適地は限られる。このため政府は、次世代技術として、フィルムのように薄くて軽いペロブスカイト太陽電池の実用化を急ぐが、量産化によるコスト削減が最大の課題。風車を海面に浮かべる浮体式洋上風力は資材などの高騰に直面する。
原発は、現行計画に掲げた30年度目標と同水準の2割程度を維持するが、建設中を含む国内の原発36基がほぼすべて稼働することが前提となる。40年代には運転期間が60年を超え廃炉となる原発も出てくるため、原案では廃炉を決めた原発敷地内だけでなく、他の原発敷地内でも建て替えを容認する考え方を打ち出した。
具体的には、九州電力玄海原発(佐賀県)の廃炉原発を川内原発(鹿児島県)で建て替え、実質的に増設することが想定されている。ただ、電力大手関係者は「原発は立地地域との関係が重要だ」として難航を予想している。
[時事通信社]
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