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カジノで成長、進む中国化=「祖国の宝」と習主席―マカオ

時事通信 / 2024年12月20日 16時21分

 【マカオ時事】ポルトガルから中国に返還されて25年を迎えたマカオ。世界有数のカジノ産業を中心に飛躍的な経済成長を遂げ、習近平政権は「一国二制度の優等生」と見なしている。同じ制度が適用される香港とは対照的に、大規模な抗議デモは近年見られない。行政長官には初めて中国本土出身者が就任し、「中国化」が着々と進んでいる。

 「マカオは偉大な祖国の宝だ」。習国家主席は20日、返還25年記念式典と行政長官就任式に出席して演説し、こう評価。一国二制度が成功していると誇示し、「マカオは返還以来、輝かしい成果を挙げてきた」と持ち上げた。

 一国二制度は、社会主義の中国国内で資本主義の併存を容認する制度。香港とマカオでは、外交と国防を除く「高度な自治」が保障されることになっている。

 だが、香港では2019年に大規模な反政府デモが発生。これを受けて20年6月に国家安全維持法(国安法)、24年3月には同法を補完する国家安全条例がそれぞれ施行された。社会統制がさらに強まり、一国二制度は形骸化が進んでいる。

 一方、マカオでは政府に対する市民の反発が少ない。返還前から親中派団体の影響力が強く、多くの住民は中国に融和的とされる。その背景にあるのはカジノ産業。中国本土との経済的なつながりが強固で、本土からの観光客は「上客」だ。

 マカオ政府は「富の還元」の一環として住民に現金を給付し、教育・医療費も原則無料。こうした施策は市民に広く歓迎されているが、治安悪化で観光客が減れば生活に直接響くだけに、若者には「抗議活動を封じるためのばらまき」(20代男性会社員)と冷めた声もある。

 21年の立法会(議会)選挙では、返還後初めて民主派議員がゼロになった。当局が民主派の出馬を禁じたためで、反対派を排除する習政権の姿勢がマカオでも鮮明になっている。

 政府トップの行政長官には、広東省生まれで前終審法院院長(最高裁長官)の岑浩輝氏が就任した。今後は「反腐敗」を掲げる習指導部の意向に沿いながらカジノへの統制を強め、カジノ産業の健全化や経済面での過度な依存からの脱却を進めるとの見方も出ている。 

[時事通信社]

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