度を超す関係、長年癒着=海自隊員も意識甘く―背景に備品不足・川重裏金
時事通信 / 2024年12月27日 17時8分
川崎重工業の裏金問題で、防衛省による特別防衛監察の中間報告は「要望に応え隊員と良好な関係を築きたい意識が大きな動機」と指摘した。約40年前から続いた不正。長く生活を共にする一体感が、度を超した癒着につながった。
潜水艦は3年に1度、約10カ月に及ぶ定期検査を行うほか、毎年2~3カ月の年次検査を実施する。この間、川重の点検の際は乗組員が神戸造船工場に隣接する「海友館」という施設で寝泊まりする。隊員と川重の工事担当者は打ち合わせや作業で毎日顔を合わせ、飲食などで親睦を図る機会も多いという。
調査では、不正が始まった当初の話として「隊員が作業の一部を手伝い、工賃の範囲で物品を要望した」との証言も得られた。その後、川重内部のチェックが徐々に甘くなり、作業抜きでも関係構築のための物品提供が常態化したとみられる。
防衛省が潜水艦乗員約2500人に行ったアンケートでは約15%が物品提供を「受けた」「見聞きした」と回答。「契約内で問題ない」と考えていた隊員も多かった。飲食は約13%が「ある」と回答。隊員も一部を負担していたが、同省は「費用を意識しない例もあった」となれ合いを指摘した。
一方、報告書は自衛隊の備品不足も一因だとした。ゲーム機など明らかな私物も供与されたが、隊員の要望は業務に必要な工具や艦内生活を便利にする共用家電などに集中していた。防衛省は「私物と区別し難い」としつつも、再発防止には「備品の迅速な支給や個人のニーズに応える体制も必要」とした。
[時事通信社]
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