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マスク氏、トランプ支持者と応酬=移民巡り「内部対立」―Xの投稿管理問題に飛び火

時事通信 / 2024年12月30日 15時8分

 【シリコンバレー時事】実業家イーロン・マスク氏が、トランプ次期米大統領を支持するインフルエンサーらと衝突した。ITなど専門性を持つ外国人向けの就労ビザ「H―1B」の扱いを巡る相違が原因で、トランプ氏を積極支援し政治的影響力を高めるマスク氏と、トランプ氏の支持基盤である反移民強硬派の「内部」対立が浮き彫りになった形だ。

 きっかけは、トランプ氏が22日、次期政権の人工知能(AI)に関する政策顧問にインド系の投資家スリラム・クリシュナン氏を起用すると発表したこと。同氏はこれに先立つ11月、専門性を持つ移民の受け入れ拡大を主張しており、トランプ氏に近い極右インフルエンサーのローラ・ルーマー氏が「米国第一主義の政策に反する見解で、憂慮すべきだ」と人事に異論を唱えた。

 黙っていられなかったのが、テック業界でのし上がってきたマスク氏だ。今月25日のX(旧ツイッター)への投稿で「米国には超才能があり、やる気満々のエンジニアが少な過ぎる」とIT技術者の不足を指摘。27日にも「米国を強くしたスペースXやテスラ、その他数百の企業を築いた多くの重要人物と共に私がこの国にいるのは、H―1Bビザのおかげだ」と強調し、反対派との「戦争」を宣言した。

 ルーマー氏はH―1Bを擁護するマスク氏の姿勢に「毎日奴隷のように働いている米国生まれの人はどう思うだろうか。軽蔑されていると感じる」と疑問を投げ掛けた。トランプ氏の元側近スティーブ・バノン氏も加勢し、H1―B擁護論を「詐欺」と切り捨てた。

 肝心のトランプ氏はニューヨーク・ポスト紙の取材に「H―1Bビザは素晴らしいプログラムだ」と語り、マスク氏に同調したようにみえる。だが、厳格な移民規制を求める層を取り込んで大統領選に勝利しただけに、議論が過熱すれば、支持基盤の動揺を招きかねない。

 ビザを巡る論争は、マスク氏をオーナーとするXへの批判にも飛び火した。ルーマー氏は27日、Xの有料会員から外されたと投稿。長文投稿ができなくなり、収益も分配されなくなるという。

 NBCニュースは、移民政策に関するマスク氏の見解に反対する少なくとも14の保守系アカウントが、こうした措置の対象になったと報じた。マスク氏は「言論の自由至上主義者」を自称し、SNS上の投稿管理を「検閲」と非難してきたが、今回は検閲を批判される側になっている。 

[時事通信社]

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