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アングル:FRB緊急措置、国債の流動性に寄与か 効果は短期的との見方も

ロイター / 2020年3月24日 13時50分

 3月23日、米連邦準備理事会(FRB)が発表した無制限の量的緩和(QE)について、アナリストは、米国債市場の流動性拡大に寄与する可能性があると指摘している。写真はワシントンで2012年4月撮影(2020年 ロイター/Joshua Roberts)

[ニューヨーク 23日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が23日発表した無制限の量的緩和(QE)について、アナリストは、米国債市場の流動性拡大に寄与する可能性があると指摘している。

ただ金融市場は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて混乱しており、たとえFRBがすべての国内債券を買い入れたとしても、米国債市場の価格形成機能の低下は続くとの見方も出ている。債券市場の投資家が急激な景気縮小を懸念しているためだ。

米国債市場では数週間前から流動性が低下し、国債価格が乱高下している。これを受け、FRBは3月初旬に利下げを実施。その後も大胆な市場支援策を導入していた。

23日には緊急の連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、初の社債購入や企業への直接融資に踏み切ると発表。中小企業向け支援プログラムを「近く」導入するとも表明し、これまで金融市場中心だった介入を実体経済に対しても拡大する方針を示した。

また無制限の量的緩和を行う方針も決定。米国債や住宅ローン担保証券(MBS)を必要なだけ買い取ると表明した。

FRBは先に、国債を少なくとも5000億ドル、MBSを少なくとも2000億ドル買い入れると表明していた。

TDセキュリティーズの金利担当シニアストラテジスト、ジェナディ・ゴールドバーグ氏は「今回の措置により、FRBは多くの証券市場で最後の買い手となる。ディーラーのバランスシートにかかっていた圧力が大きく和らぐだろう」と指摘した。

23日の米国債利回りは低下。2年債利回り は7年ぶりの低水準となった。投資家が安全資産とされる国債の買いを継続していることが背景だ。

アナリストは、FRBの発表を受けて流動性に対する圧力がやや和らいだと指摘。ただ、今後必ずしも物事がスムーズに進むわけではないと予想している。

インキャピタルのチーフマーケットストラテジスト、パトリック・リアリー氏は「流動性は他のすべてのものと一緒に改善するだろう」と指摘。「こうしたことは時間がかかる。ウイルスにしても、株式市場にしても、クレジット市場にしても、必要な流動性を市場で調達できるとの見方が広がれば、流動性のニーズが低下する」と述べた。

23日の米国債市場では、発行残高の大半を占めるオフザラン(既発債)銘柄の流動性不足が続いた。オフザラン銘柄は新型コロナに対する懸念を背景に数週間前から流動性が低下している。

リアリー氏によると、オフザラン銘柄の買い気配と売り気配のスプレッドは約6ティックと、通常の水準を大幅に上回っている。

ただ、FHNフィナンシャルの金利担当シニアストラテジスト、ジム・ボーゲル氏は「先週末あたりから初期の明るい兆し」が見え始めていたと指摘。23日はデリバティブ市場との比較で、流動性がやや改善したとの見方を示した。

FRBは過去1週間、国債市場で前例のない存在感を示しており、5000億ドルとしていた国債買い入れ枠のうち55%分を買い入れた。JPモルガンの23日付のリポートによると、1日当たりの買い入れペースは2009─14年のQEの平均水準を上回っている。

ただJPモルガンは、FRBの国債買い入れにもかかわらず、市場の厚みはほとんど増しておらず、2008年末以来の低水準にとどまっていると指摘している。

エバーコアISIの債券ストラテジスト、スタン・シプレー氏は「最終的には国内経済活動の40%が停止し、日々状況が悪化し、いつまでもこんな状態ではいられない、ということになるリスクが残っている」とした上で「今回のFRBの措置により、ウイルスとの戦いに勝つため、数カ月の時間的余裕ができた」と述べた。

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