スズキを3兆円企業に成長、鈴木修会長が退任 40年以上経営を主導
ロイター / 2021年2月24日 21時50分
2月24日、スズキは、鈴木修会長(91)が退任すると発表した。6月の株主総会後に会長を退き、相談役に就任する。写真は2017年9月、インドのガンディナガルで撮影(2021年 ロイター/Amit Dave)
[東京 24日 ロイター] - スズキ <7269.T>は24日、40年以上にわたり経営を主導してきた鈴木修会長(91)が退任すると発表した。鈴木会長は徹底して現場にこだわる強いリーダーシップを発揮し、社長就任時に売上高3000億円規模にすぎなかったスズキを3兆円企業にまで成長させた。
6月の株主総会後に会長と取締役から退いて相談役に就く。後任の会長は置かない。
オンラインで会見した鈴木会長は退任を決めた理由について、昨年3月に創立100周年という「峠を越えた」ことや、多発しているリコールへの対策と電動化に集中する新たな中期経営計画が策定できたためと説明。着実な実行に向け、「後進に道を譲る」と述べた。
「生涯現役」を公言してきた同会長は、「相談役として現役でいる。逃げも隠れもしない。気軽に相談してほしい」と語った。「生きがいは仕事。挑戦し続けることが人生である」とも話した。
「おさむ節」と呼ばれるユーモアに富む語り口はこの日も健在。「昨年はゴルフを47回やり、ぴんぴんしている。ご安心下さい」と語って健康状態が良いことをアピールした。
鈴木会長は軽自動車メーカーとしてトップの座を確たるものとしたほか、1983年にはいち早くインド進出を決めた。
同会長は「先見の明はない。『勘ピューター』で行き当たりばったりで到着したらインドが見え、上陸したら(事業化が)スムーズにいった」と振り返り、鈴木俊宏社長ら現経営陣に「歩け歩け、行動しろ。そうすれば、新市場があるから大丈夫」と語った。
一方、同席した鈴木社長は「中計をやり抜く。軽自動車を守り抜く」と話し、「会長は非常に数字に強い。無駄がないよう、役員としっかり議論しながら、会長に後ろ指をさされないようにしていきたい」と述べた。
鈴木会長は銀行勤務を経て、1958年に鈴木自動車工業(現スズキ)に入社。創業家で2代目社長の鈴木俊三氏の娘婿となり、78年に社長に就任した。2000年からは会長を務め、08年12月には再び社長を兼務。15年に長男の俊宏氏に社長職を託し、16年には最高経営責任者(CEO)も譲り、会長として経営判断に携わってきた。
ハンガリーでの現地生産、米ゼネラル・モーターズ
<5年で1兆円投資、電動化を加速>
スズキはこの日、今年4月からの中計を発表した。5年間で1兆円を研究開発に投資する。25年までに電動化技術を整え、30年までに5年間で開発した電動化技術を全車両に展開し、30年以降に量的拡大を図る。
鈴木社長は、投資額の大部分を電動化技術開発に振り向け、「研究開発費を使い切ってしっかり技術を確立し、電動化で生き残る」と語った。小型車に適したハイブリッド車(HV)技術は自社で開発し、より大きな車両にはトヨタのHV技術を生かすと説明した。
主力市場のインドでは、乗用車市場でシェア50%以上の維持を目標に掲げる。鈴木社長は「SUV(スポーツ多目的車)セグメントは他社にリードを許しているので、適切なモデルを入れていく」と述べた。インドの人口13億人のうち「3億人くらいしか相手にしていなかったのではないか。残りの10億人をしっかり攻める。農村部での販売をしっかり伸ばし、シェアを開拓する」と語った。
同社は26年3月期に売上高を過去最高の4兆8000億円(20年3月期は3兆4884億円)、営業利益率は5.5%(同6.2%)を目指す。配当性向は30%とする。世界販売はアジアを中心に、四輪は370万台(同285万台)、二輪では200万台(同171万台)を計画する。二輪の営業利益率は5%以上を目指す。
*内容を追加しました。
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