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アングル:中国本土から香港への資金流出再燃、人民元に下げ圧力

ロイター / 2024年6月24日 13時8分

 人民元相場の下落と中国本土から香港への資金流出の拡大は、中国の投資家が本土市場の迅速な持ち直しをいったんあきらめ、最も近場で利回りの高い資産に逃避しつつある証拠だ。写真は人民元紙幣。2022年5月撮影のイメージ写真(2024年 ロイター/Dado Ruvic/Illustration)

Winni Zhou Ankur Banerjee

[上海/シンガポール 21日 ロイター] - 人民元相場の下落と中国本土から香港への資金流出の拡大は、中国の投資家が本土市場の迅速な持ち直しをいったんあきらめ、最も近場で利回りの高い資産に逃避しつつある証拠だ。

人民元は16日の週に7カ月ぶりの安値を付け、中国株も投資資金流入の流れが反転した。

アナリストによると、本土の投資家が高い利回りを求めて香港に投資しているほか、企業が香港で年間配当への備えを進めているため香港の人民元預金残高も膨らんでおり、人民元に対する圧力は高まっている。

シンガポールに拠点を置くオールスプリング・グローバル・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、ゲイリー・タン氏は「中国に対する市場心理はこの1カ月で悪化した。マクロ経済データが改善するとの観測で市場は急上昇したが、データが期待を裏切り続けているからだ」と述べた。

タン氏は中国株をアンダーウエートにしているが、市場心理は中国本土が「投資対象外」と目されていた時期に比べればかなり改善しており、今後もさらに上向くと見込んでいる。

しかし投資家は数カ月も前から、主に不動産セクターに対する追加の景気刺激策を待ち続けており、しびれを切らしている。

上海市場の主要株価指数は2月初旬から5月中旬にかけて20%上昇したが、その後は6%下げた。

昨年資金を引き揚げた後、今年2月以降は市場に戻ってきていた外国人投資家も今月は売りに転じ、中国本土と香港間の株式相互取引(ストックコネクト)制度を通じて330億元(約45億4000万ドル)を本土から引き揚げた。一方、この制度を使った本土投資家による香港上場株投資は1290億元に上った。

アナリストによると、投資家が模様眺めをしているのには、いくつか理由がある。中国人民銀行(中銀)がどこまで金融緩和を進めるか不明である上、7月には経済・財政政策が固まる第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)を控えている。

BNPパリバ・アセット・マネジメントのアジア太平洋地区シニア・マーケット・ストラテジスト、チー・ロー氏によると、外資系ファンドは今のところ中国株に対して中立的なポジションをとっているが、前向きの姿勢に転じつつある。「中国政府は金融緩和策を1年半前よりさらに押し進める公算が大きく、3中全会でもその方針が改めて示される可能性が高いと見ている」という。

市場では人民銀行が多少の人民元安を容認しているとの憶測が広がっている。人民元は年初から対ドルで2.2%下落している。

<香港への資金流入>

香港は本土からの資金が流入し、人民元の預金残高が記録的な水準に上昇。最も新しい4月の統計では1兆0900億元(1500億ドル)に達した。

BNPパリバの中華圏通貨・金利戦略責任者、ジュ・ワン氏は、本土の投資家は利回りが低く、追加緩和も見込まれることから、より高いリターンのオフショア人民元を求めて香港に殺到していると述べた。

株式相互取引制度を通じた本土からの持続的な投資資金の流入と、中国企業が香港での配当支払いに充てるために進めている6、7月の資金移動も、オフショア人民元売りと香港ドルの需要増につながっている。

人民元は5月初旬以来、香港ドルに対して1.9%下げている。

さらに、米連邦準備理事会(FRB)が金融緩和を視野に入れているため米ドル金利は頭打ちになるとの観測も、香港に資金が集まる要因になっている。

BNPアセット・マネジメントのロー氏は「香港ドルは米ドルと連動しているため、米国の利下げは香港の流動性にとって非常に重要だ。FRBが利下げを開始すれば香港の流動性は潤沢になり、それが資産価格を押し上げるだろう」と予想した。

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