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アングル:ハイテク分野の米中対立、誰が次期米大統領になっても激化必至

ロイター / 2024年10月24日 17時38分

 最先端ハイテク技術を巡る米国と中国の対立は、11月5日の米大統領選で共和党候補のトランプ前大統領と民主党候補のハリス副大統領のどちらが勝利しても激化するのがほぼ確実と見られる。2023年1月撮影(2024年 ロイター/Dado Ruvic)

Karen Freifeld

[23日 ロイター] - 最先端ハイテク技術を巡る米国と中国の対立は、11月5日の米大統領選で共和党候補のトランプ前大統領と民主党候補のハリス副大統領のどちらが勝利しても激化するのがほぼ確実と見られる。ただ、大統領に就いた場合にハリス氏が標的を絞った新たな規制を打ち出すと予想されているのに対して、トランプ氏はより強硬なアプローチを取ると見られ、実際の政策には違いが生じそうだ。

バイデン政権やトランプ政権の元関係者、専門家、両陣営に近い消息筋によると、今後はそれほど高性能ではない中国製半導体やスマートカーなどの輸入を抑える新たな取り組みに加え、半導体製造装置や高度な人工知能(AI)向け半導体の対中輸出への制限強化などが予想されている。

ハリス氏は「21世紀の競争で勝つのは中国ではなく米国」であるようにすると強調。トランプ氏は関税の引き上げが中国の技術的な進歩を阻止する万能策だと訴えている。つまり、次期米大統領が両氏のいずれに決まろうと、米国の資金や技術で中国の軍事力やAI能力が強化されるのを阻止する闘いが激しさを増すのは間違いない。

バイデン政権の国家安全保障会議(NSC)元高官であるピーター・ハレル氏は「米中ハイテク戦は新たな局面に入りつつあり、焦点になっているのはデータ、ソフトウエア、インターネットに接続するコネクテッドデバイスだ」と述べた。

米国は先月、中国製部品を使用したコネクテッドカー(インターネットに接続する車)を国内から排除するための規則を提案した。また、今春には中国発の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」について、中国の親会社が来年までに手放さなければ米国内での利用を禁止する法律が成立した。

ハレル氏は「中国企業がデバイスにアクセスし、アップデートをできることへの懸念は非常に強い。コネクテッドカーやTikTokは氷山の一角に過ぎない」と言う。

ハリス氏が勝った場合の政策の進め方は、トランプ氏と比較して標的を絞ったよりバランスが取れたものになる公算が大きいと、両政権に近い筋は話している。例えば、バイデン現政権と同様に同盟国との協力を保ち、米国の技術が中国の軍事力に使われないような手を打つとハレル氏は予測する。

一方、トランプ政権が発足した場合は、動きがもっと速く、米国の方針に従わない同盟国に対して厳しい対応を取る可能性が高い。

トランプ前政権で貿易政策担当の高官を務めたジェミソン・グリア氏は「トランプ大統領の第1期から学んだことは、彼は行動が偏っているということだ」と述べた。

トランプ政権下で商務省の高官を務め、現在のトランプ氏の顧問陣を知るナザク・ニカクター氏は、トランプ政権が発足すれば「中国に対する輸出管理政策をさらに積極的に行う」と予想。事実上の禁輸対象となる「エンティティ・リスト」が大幅に拡大されると見ている。

また、米国の技術を中国に輸出するためのライセンスの承認はさらに得にくくなる可能性が高く、中国製半導体の輸入だけでなく「その半導体を使った特定の製品」に制限が課されても驚きではないとした。

米国の方針に従わない同盟国に対する態度はトランプ氏の方がハリス氏よりも強硬になるとも予測。「トランプ氏は根本的に懲罰的な考えの持ち主だ」と指摘した。

クリントン政権下で商務省の高官を務めたビル・ラインシュ氏は、トランプ氏はハリス氏なら「メス」を使う部分で「大ハンマー」を使うような対応をする可能性が高いと見ている。「トランプ氏のアプローチは一律的で、それは彼が打ち出している関税を巡る提案に最も明確に表れている」という。トランプ氏は、中国製に限らず全ての輸入品に10─20%の関税を課し、中国製品への関税は60%以上に引き上げると発言している。

ハリス氏は、トランプ氏の関税引き上げ計画は消費者への課税と同じものだと批判しているが、バイデン政権も必要に応じて対象を絞った関税が必要だと考えており、2025年までに半導体の関税率を25%から50%に引き上げることを検討している。

中国は繰り返し、自国の権利と利益を守ると主張。米国が昨年、米国製の半導体や半導体製造装置に一連の輸出規制を課すと、中国は米国のメモリー半導体メーカー、マイクロン・テクノロジーを狙い撃ちする規制を導入した。

中国は昨年、半導体製造に広く使用されるゲルマニウムやガリウムについて、国家安全保障の名目で輸出制限を導入。昨年10月には、米国が半導体関連の輸出規制を強化した数日後に電気自動車(EV)のバッテリーに使用される一部グラファイト(黒鉛)製品にも新たな規制をかけた。さらに今年6月には、軍事装備や民生用電子機器に不可欠なレアアース(希土類)に関する新しい規制も発表した。

トランプ政権下で商務長官を務めたウィルバー・ロス氏は、米国は中国に対して強硬な姿勢を取る必要があるが、米国はレアアースの供給を中国に依存しており、対応は戦略的でなければならないと強調。「単に中国への依存からの脱却を図るのは極めて危険だ」と警鐘を鳴らした。

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