トランプ劇場、再び開幕=経済・外交、就任前から影響―対議会で波乱含み・米
時事通信 / 2025年1月2日 14時16分
【ワシントン時事】トランプ次期米大統領が今月20日に就任する。「米国の黄金時代」をもたらすと意気軒高の同氏は既に高官職の指名を終え、各界の「トランプ詣で」も続く。就任直後から公約実現に全力を挙げる構えだが、カギを握る議会では与党共和党内に対立の火種がくすぶり、混乱も予想される。
2024年11月の大統領選で復活が決まるや否や、外交・経済界には瞬く間に「トランプ・エフェクト(効果)」が広がった。
アップルやグーグルなどIT大手幹部は関係構築を模索し、南部フロリダ州のトランプ氏の邸宅「マールアラーゴ」を相次いで訪問。ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は、1000億ドル(約15兆円)の対米投資を打ち出しトランプ氏を喜ばせた。
外交面で最初の標的となったカナダやメキシコは、自国製品に対する高関税賦課の脅しを受け、早々にトランプ氏が要求する国境管理の強化に動いた。「マールアラーゴは宇宙の中心」。トランプ氏はSNSにこう書き込み、自身の影響力に満足げだ。
2期目の最大の目玉は、バイデン政権下で急増した不法移民の強制送還。米国内で生まれた子供へ自動的に米国籍を付与する「出生地主義」の見直しも視野に、就任初日から関連する大統領令を連発するとみられる。
ただ、立法を迂回(うかい)した大統領令に基づく政策遂行は、司法による差し止めのリスクを伴う。移民送還はコストや手続き面で課題が多く、安価な労働力を失う農業や建設業界などの反発も予想される。ジョージ・ワシントン大のトッド・ベルト教授(政策運営学)は「1期目で完遂できなかった『国境の壁』のように、取り組みの多くは象徴的なものにとどまるだろう」と指摘した。
1期目に続いてトランプ氏を悩ませそうなのが、議会との関係だ。共和党は1月3日招集の新議会で上下両院の多数派を握るものの、党内には財政保守派や穏健派など理念の異なるグループが存在し、トランプ氏の意のままに動きそうにない。
財務当局は、債務残高が今月半ばにも法定上限に達するとの見通しを示している。議会が対応しなければ、政権発足の瞬間から債務上限引き上げを巡る問題に直面することになり、波乱の幕開けとなりそうだ。
[時事通信社]
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