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日鉄、米政府提訴へ=USスチール買収阻止に反発―大統領決定、政治的で法令違反

時事通信 / 2025年1月4日 20時21分

 米鉄鋼大手USスチールの買収計画を中止するようバイデン大統領が命じたことを受け、日本製鉄は3日付で、USスチールとの連名により「法的権利を守るためにあらゆる措置を追求する」との声明を発表した。命令は原則30日以内に計画を放棄するよう求める。日鉄は米政府を相手取った訴訟の提起などを通じ、あくまで買収の実現を目指す。

 日鉄は声明で、命令は「バイデン大統領の政治的な思惑のためになされ、米国憲法上の適正手続きと、対米外国投資委員会(CFIUS)を規律する法令に明らかに違反している」と批判。USスチールのブリット最高経営責任者(CEO)も3日、「恥ずべき、腐敗したものだ」と厳しく指摘する声明を発表した。同盟国の企業同士が合意した買収計画を大統領が阻止する異例の事態で、日本企業の対米投資に影響が出る可能性がある。

 日鉄関係者は「あらゆる措置の選択肢には法廷闘争も含まれる」と明かした。CFIUSの審査を踏まえた意思決定手続きの問題点などを訴えていくとみられる。

 ただ、「買収が米国の経済と国家安全保障を強化する」という日鉄側の主張を裁判などを通じて認めさせるのは容易ではない。米国時間20日に就任するトランプ大統領も買収を「阻止する」と明言しており、情勢は一段と厳しくなっている。買収が不成立なら、日鉄にはUSスチールに対する5億6500万ドル(約890億円)の違約金支払い義務が発生する可能性も出てくる。

 中止命令を巡り、武藤容治経済産業相も3日、「国家安全保障上の懸念を理由として(買収阻止の)判断がなされたことは理解し難く、残念だ」とするコメントを発表した。日本の産業界が対米投資への懸念を強める可能性があり、武藤氏はバイデン政権に対応を求めていく考えを示した。 

[時事通信社]

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