子育て支援で首都圏格差=東京の財政力背景、近隣県は反発
時事通信 / 2025年1月5日 9時1分
昨年7月の東京都知事選で300万票近くを獲得し3選を果たした小池百合子知事。0~18歳の都民に月額5000円を支給する「018サポート」事業や高校実質無償化など、巨額な財源が必要となる子育て支援策への支持を得た形で、今後も施策の充実が予定されている。近隣の埼玉、千葉、神奈川3県からは、都の豊かな財政力を背景に、首都圏で住民サービスに深刻な格差が生じているとの強い反発が出ている。
都はこれまでの施策に加え、9月から保育料無償化の対象を第1子にまで拡大する方針。小池氏の知事選公約には「大学給付型奨学金制度の創設」も盛り込まれており、子育て支援策のさらなる充実が見込まれる。
近隣県の反発に対し、都は3県が受け取れる地方交付税を含めれば、財政状況に大きな差はないと主張。子育て支援の財源確保は、事業の合理化など自助努力によるところも大きいと説明している。自治体が政策の優先順位を付けて予算を振り向けるのは当然だとして、都庁内では「それで『格差』と言うのであれば、都道府県は要らなくなる」(幹部)といった反論も聞こえる。
しかし、企業が集中する地域に税収が集まりやすい地方法人2税(法人事業税、法人住民税)により、「東京が豊かなのは事実だ」との声は、自治体関係者の間で根強い。自治体にとっての「貯金」に例えられる基金残高を見ても、都は2022年度末で約2兆3600億円だったのに対し、3県は約2600億~3900億円と桁が違う。
格差を解消するため、税源の偏在を是正する税制改正を求める声があるものの、実現を目指す場合、真っ向から対立する東京と他県との利害調整が必要。「石破茂首相の政権基盤が脆弱(ぜいじゃく)な中で、実現は難しいだろう」(中央省庁関係者)といった見方が一般的だ。当面は、偏在是正を求める側も反対する側も、それぞれの主張を展開するだけの状態が続くとみられる。
[時事通信社]
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