議会襲撃、清算なき4年=トランプ氏復権で帳消し―米
時事通信 / 2025年1月7日 14時58分
【ワシントン時事】トランプ次期米大統領の2024年大統領選における勝利が6日、連邦議会の承認で最終確定した。20年選挙の敗北を認めず、支持者による議会襲撃を招いて丸4年。「現職不起訴」の原則から、同氏に対する訴追は尻すぼみになった。現職大統領が民主主義の根幹である選挙の結果を否定し混乱を引き起こした前代未聞の事件は、司法の裁きを受けず帳消しになろうとしている。
◇司法の追及に幕
6日、冬の嵐に見舞われ雪が降り積もったワシントンは、厳重な警備をよそに静まり返っていた。ハリス副大統領が主宰した上下両院合同会議での結果認定作業は遅滞なく進み、トランプ氏は「歴史に残る瞬間だ」と復権をかみしめた。
4年前のこの日、トランプ氏は「選挙不正」を訴え、ホワイトハウス前に集まった支持者に「ここにいる全員が議会へ行進するだろう」とけしかけた。暴徒化した群衆は議事堂を破壊し、警官隊と衝突。トランプ氏は後に、集計手続きを妨害したなどとして連邦法違反と南部ジョージア州法違反で起訴された。
だが昨年当選したことで、事件は公判前に「時間切れ」となった。起訴状や下院の調査などによれば、トランプ氏はペンス副大統領(当時)や州当局に集計結果を改ざんするよう圧力をかけた。議会襲撃前、銃で武装していた一部支持者の存在をトランプ氏が認識していたことなども明らかになっている。こうした事実関係の検証や責任の追及は未完のままだ。
司法省によると6日までに、騒乱に加わった1583人が警官への暴行や器物損壊などの罪で起訴され、667人が禁錮刑を受けた。トランプ氏は被告らを「愛国者」と呼び、一部を就任初日に恩赦すると宣言している。
◇再発どう防ぐ
この間、事件を巡る認識は強い党派色を帯び、米国の分断を深めた。CBSテレビの最新世論調査では、襲撃犯の恩赦について共和党支持層の72%が賛成する一方、民主党支持層では88%が反対した。右派の言論空間では、「平和的な抗議活動」などと正当化する説がまかり通る。
21年の反省から、議会は選挙結果の認定に関わる法改正を行い、あくまで形式的だった手続きを厳格化。副大統領には儀礼上の役割しかないことなどを明記した。ただ、こうした対応のみでは同様の事件を防げるとは限らない。
バイデン大統領は、民意を尊重し、権限移譲を平和裏に進めることでトランプ氏との対比に努めている。バイデン氏は5日の民主党議員との会合で、1月6日を「米史上最も困難な日」と位置付け、こう呼び掛けた。「民主主義は試練にさらされている。真実を伝え、何が起きたかを記憶することは、あなた方の義務だ」。
[時事通信社]
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