トルドー政権、9年で幕=支持率低迷に「トランプ関税」直撃―カナダ
時事通信 / 2025年1月7日 15時19分
【ニューヨーク時事】カナダのジャスティン・トルドー首相(53)が6日、辞意を表明した。現職の先進7カ国(G7)首脳で最長のトルドー政権は9年余りで幕を閉じる。ジェンダー平等など進歩的な政策を進める一方、近年は物価上昇などで有権者の反発が深刻化。支持率が低迷する中、トランプ次期米大統領による高関税の脅しが直撃し、党内外で高まった退陣圧力に屈した。
「次の選挙で私が最善の選択肢になり得ないことは明白だ」。首都オタワで6日、記者団を前に与党・自由党の党首を辞すると表明したトルドー氏の瞳には涙が浮かんでいた。カナダは10月までに総選挙を予定しており、トルドー氏は続投に意欲を示していたが、断念した。自由党は今後選出する新党首の下で選挙戦に臨む。後継の党首が決まるまではトルドー氏が首相にとどまる。
トルドー氏は2013年に自由党党首に就任。15年10月の総選挙で大勝し、翌11月の政権発足時には、男女同数の閣僚を任命し話題を呼んだ。19、21年の総選挙でも第1党を維持したが、少数与党に転落。第3野党の新民主党(NDP)の協力を得て政権を維持してきた。
トランプ氏が昨年11月、就任初日に不法移民や薬物流入の対抗策として25%の関税を課す方針を明らかにすると、カナダ政界は混乱。トルドー氏は長年の側近だった主要閣僚と対応を巡り対立し、12月には抗議の辞任を招いた。
NDPもトルドー政権打倒を打ち出し、今月再開される予定だった議会で不信任案が可決される公算が大きくなっていた。議会は3月24日まで休会となり、その間に自由党は新党首を選ぶ手続きを進める。
トランプ氏は6日、トルドー氏の辞任表明を受けて、カナダが米国の51番目の州となれば「関税はなくなり、ロシアや中国の脅威からも安全が確保される」とSNSに投稿。「一緒になれば何と素晴らしい国家になるだろう!」と述べ、最後までトルドー氏を翻弄(ほんろう)した。
[時事通信社]
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