同盟国の買収阻止、懸念噴出=日米経済協調に暗雲―日鉄・USスチール
時事通信 / 2025年1月7日 17時30分
バイデン米大統領による日本製鉄の米鉄鋼大手USスチール買収の中止命令に、日本政府は強く反発している。日本は米国と共に、同盟・同志国との関係を重視した供給網の強化などを通じて連携を拡大してきた。それだけに、「国家安全保障と重要な供給網へのリスク」を盾に反対するバイデン氏には、閣僚からも懸念の声が噴出。日米の経済協調にも暗雲が垂れ込めてきた。
武藤容治経済産業相は7日、「日本と米国の信頼関係は、経済安全保障を含めて大事な基盤だ」と強調。城内実経済安全保障担当相は「非常に理解し難く、極めて残念だ」と切り捨て、「同盟国から『供給網のリスク』と言われないように取り組む」と皮肉交じりに語った。
日鉄の買収に関し、政府が強調してきたのが、日米企業間での投資や連携を積み上げる重要性だ。バイデン政権は、中国依存からの脱却を念頭に、同盟・友好国で連携して戦略物資の安定確保を進める「フレンドショアリング」を推進してきた。
狙いは、半導体をはじめとする重要物資を輸出規制などで「武器化」する中国に加え、ロシアのウクライナ侵攻以降の供給制約といった危機にも協調して対抗することだ。
日本も、強靱(きょうじん)で持続可能な供給網を信頼できる国との間で構築するため、米国だけでなく欧州連合(EU)と協調。東南アジア諸国連合(ASEAN)などとも認識を擦り合わせてきた。
日鉄が訴訟で審査のやり直しを勝ち取っても、買収可否の判断はトランプ次期米大統領に委ねられる。トランプ氏は日鉄の買収に反対するだけでなく、輸入品の一律関税の対象について、鉄鋼をはじめ安保関連の品目に限定する検討を進めていると報じられたばかり。日本企業の対米戦略を含め、日米の経済面での連携には高い障壁が待ち構えている。
[時事通信社]
この記事に関連するニュース
ランキング
-
1学研が事業停止「ニチガク」の生徒ら支援=無償指導など
時事通信 / 2025年1月8日 19時50分
-
2ガソリン価格 来週から185円程度の“歴史的水準”へ 背景に補助金の縮小 年始の家計に響く
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2025年1月8日 18時22分
-
3大戸屋が挑戦「1980円・高級すき焼き」の"実力" ペッパーフードも同種の業態出すも狙いは異なる
東洋経済オンライン / 2025年1月9日 7時50分
-
4ソニー「エンタメ総取り」打ち出した社長の本気度 「CES 2025」はホンダと開発のEVも含めエンタメ一色
東洋経済オンライン / 2025年1月9日 7時40分
-
5中居正広CM削除「ソフトバンクの判断」が正しい訳 「示談してたのに…」は企業には一切関係ない
東洋経済オンライン / 2025年1月8日 8時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください