大統領支持率、40%?=調査手法が影響か―深まる分断、保守回復傾向・韓国
時事通信 / 2025年1月8日 19時28分
【ソウル時事】韓国の世論調査機関は、弾劾訴追された尹錫悦大統領の支持率が40%とする結果を発表した。有効回答率が4.7%と低く偏りが出たとみられるが、韓国社会の深まる分断を背景に、保守系与党「国民の力」の支持が回復傾向にあるのも事実だ。
調査は「韓国世論評判研究所」が3、4両日、18歳以上の1000人に電話で実施。定例調査を行う「韓国ギャラップ」が先月に公表した11%よりはるかに高い数字で、尹氏が非常戒厳を宣言する前の支持率も大きく上回る。
国民の力は「李在明代表率いる野党(共に民主党)が早期の大統領選を狙って無理をしていることに世論が反発し、大統領の支持率が回復している」と指摘した。しかし、調査を実施したのはもともと保守系とみられていた機関。尹氏の見解に沿った形の質問もあり、尹氏を支持しない人が回答を避けた可能性がある。革新系の共に民主党は「世論を歪曲(わいきょく)、操作して民意をごまかし、内乱勢力を結集しようとする醜悪な試みだ」と調査機関を非難した。
韓国では世論調査が盛んで、国に登録する機関だけでも50を超す。調査機関にも保守寄り、革新寄りが見受けられ、弊害が指摘されている。
ただ、2016年に弾劾訴追された朴槿恵大統領(当時)の支持率が数%に落ちたのに比べると、尹氏が踏みとどまっているのは確か。朴氏の罷免を受けて発足した革新系の文在寅政権が「『積弊清算』を掲げて保守の前政権を徹底追及したことで、むしろ反動が起き、一層の分断が進んだ」(専門家)と言われる。保守団体の大規模な集会も目立つようになった。
また、多くの疑惑を抱える李在明氏への反感も根強い。尹氏に続き韓悳洙首相も弾劾訴追するなど野党の強引な姿勢に対する批判が少なくないとみられ、尹氏が徹底抗戦の構えを見せる中、最近の各世論調査で与党の支持率は非常戒厳前の水準に戻りつつある。
[時事通信社]
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