中国、フィリピンEEZに「モンスター船」=トランプ氏就任控え威圧強める
時事通信 / 2025年1月12日 14時24分
【北京時事】中国海警局が南シナ海の領有権を巡って争うフィリピンの排他的経済水域(EEZ)に「モンスター船」の異名を持つ大型船「海警5901」を派遣し、威圧を強めている。トランプ次期米大統領の就任を前に、バイデン政権との軍事協力を深めてきたフィリピンに揺さぶりをかける狙いもありそうだ。
比沿岸警備隊の発表や報道によると、海警5901は1日に比EEZ内のスカボロー礁(中国名・黄岩島)周辺を航行。4日には、首都マニラに近いサンバレス州カポネス島の約100キロ沖合で確認された。退去を求める比側に対し、中国は「法に基づきパトロールと法執行を行っており、正当だ」と主張している。
海警5901は全長165メートル、排水量1万2000トンで、沿岸警備当局の船舶としては世界最大級。警戒、監視に当たった比側の巡視船「カブラ」の4倍近い大きさだ。他の海警船と連携し、中国軍ヘリをホバリングさせるなど挑発的動きを継続。11日時点でサンバレス州の約180キロ沖合を航行しており、比当局が監視を続けている。
比軍は2024年12月下旬、米国から中距離ミサイルシステム「タイフォン」を調達する計画を明らかにした。米軍は同年4月、比軍との合同演習に際し比北部にタイフォンを展開し、演習終了後も撤去していない。中国本土が射程に入る巡航ミサイル「トマホーク」を搭載可能で、中国は恒久配備に猛反対している。
中国海警局は軍の最高指導機関である中央軍事委員会の指揮下にある準軍事組織。海警5901は昨年も係争海域に派遣されており、中国の「海洋覇権」を誇示する象徴的存在となっている。中国としては、直接の軍事衝突に至らない「グレーゾーン事態」を繰り返し、支配を既成事実化していく思惑とみられる。
[時事通信社]
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