宿敵復活、未練の退場=バイデン氏、半世紀の政治人生に幕
時事通信 / 2025年1月20日 14時8分
【ワシントン時事】米民主党のジョー・バイデン大統領(82)は20日、任期最後の日を迎えた。2020年の大統領選で「米国の民主主義への脅威」と見なした共和党のトランプ氏を倒したものの、4年後に復活を許した。終始老いに苦しめられ、任期を通じた平均支持率は戦後最低の水準をさまよった。就任時に誓った「国民の融和」は道半ばのまま、半世紀超の政治家人生の幕を下ろすことになった。
新型コロナウイルスの流行や、トランプ氏の支持者が連邦議会を襲撃した事件で混乱を極めていた21年1月に就任。党派分断を超え、コロナ危機に応じた1兆9000億ドル規模の追加経済対策やインフラ投資法といった大型法を成立させ、経済再建と雇用創出を誇った。
支持率は21年夏、アフガニスタンからの拙速な米軍撤退で急降下する。その後もインフレや不法移民急増に有効な手を打てず、40%前後の低水準から浮上しなかった。
度重なる失言や物忘れ、壇上での転倒といった衰えの顕在化で、有権者の不安は加速。22年中間選挙で民主党を予想外の健闘に導いたことで自信を深め、世代交代を拒んだが、24年6月のトランプ氏との討論会で失態を演じ、再選断念に追い込まれた。
分断解消を掲げながらも、トランプ氏や支持者を「非米国的」と徹底的に批判。自身は声の大きな党内左派への配慮を重ね、一部の政策は国民感覚と乖離(かいり)していた。「私ならトランプに勝てた」という見立てに同調する向きは少ない。
退任演説では、偽情報が氾濫し、トランプ氏と一部の超富裕層が国を支配する未来に警鐘を鳴らした。「次はあなた方が見張りに立つ番だ」。米国の無限の可能性を信じたベテラン政治家は、権力の監視と民主主義の保護を国民に託し、ホワイトハウスを去る。
[時事通信社]
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