滑走路周辺の構造物交換へ=記録装置停止、原因究明難航か―韓国機事故1カ月
時事通信 / 2025年1月28日 18時43分
【ソウル時事】韓国南西部全羅南道の務安国際空港で179人が死亡した旅客機事故から29日で1カ月。韓国国土交通省は被害を拡大したとされる滑走路周辺の構造物について、全国で改修や交換を進める方針だ。一方、事故機の記録装置が胴体着陸前から停止しており、原因の究明は難航しそうだ。
事故は2024年12月29日に発生。バンコク発の格安航空会社(LCC)済州航空の旅客機が、車輪を出せずに胴体着陸し、減速できないまま滑走路の先の構造物に激突、炎上した。強固な構造物が被害を大きくしたとされ、機体の残骸は構造物から30~200メートルにわたり散らばった。
構造物はコンクリートの基礎を盛り土で覆った形で、高さは2メートル超。「ローカライザー」と呼ばれる旅客機の誘導装置の土台として設けられていた。国交省は事故を受け、全国の空港の安全点検を実施し、務安や済州、金海など7空港で同様の硬い構造物が設置されていることが判明。構造物の地下化や衝突時の衝撃を和らげる軽量鉄骨などへの交換を進めることを決めた。
問題になった務安の構造物も壊れやすい素材に交換される予定。一部空港では、滑走路の先に軟らかい素材を敷き、航空機がオーバーランした際に沈み込んで停止させるシステムの導入も検討する。
一方、事故原因を巡っては、鳥と衝突する「バードストライク」が起きて左右両方のエンジンが停止し、電源供給も止まった可能性がある。国交省が公表した初期報告書によると、左右両方のエンジンから鳥の羽根と血痕が見つかった。朴庠禹国交相は「2月には鳥類衝突予防の改善計画を立てる」と説明している。
ただ、車輪は電源供給がなくても手動で出すことができるとされ、胴体着陸の理由は不明のままだ。しかし、原因究明のカギとなる事故機のフライトレコーダー(飛行記録装置)とボイスレコーダー(音声記録装置)の記録は構造物に衝突する4分前から停止していた。電源喪失により記録が止まった可能性が指摘されており、「原因究明がより難しくなった」(航空専門家)と懸念する声が上がっている。
[時事通信社]
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