国会審議、野党ペース鮮明=参考人招致、自民に圧力
時事通信 / 2025年1月29日 20時49分
与党が過半数を割り込む衆院で、野党が審議の主導権を握る傾向が鮮明になってきた。自民党の派閥裏金事件を巡り、衆院予算委員会の委員長ポストを握る立憲民主党の圧力により、旧安倍派会計責任者(当時)の参考人招致を多数決で議決することが決定。週内に始まる本格論戦でも、裏金事件の真相解明になお後ろ向きな自民への攻勢を一段と強める構えだ。
「残念ながら与野党で合意に至らなかった。参考人要求を予算委に諮る」。29日、衆院予算委の安住淳委員長(立民)は記者団に、30日の招致議決に踏み切る方針を言明した。
参考人招致は、少数与党の石破政権が今国会で直面する最初の関門だ。昨年の東京地裁による有罪判決では、旧安倍派会計責任者が派閥幹部に従属せざるを得ない立場だったと認定。これを踏まえ、野党は昨年から招致実現を迫り、今国会では2025年度予算案の審議に入る前提条件としてきた。
衆院予算委で、野党の委員は与党をわずかに上回る。招致議決は全会一致を「原則」としてきたが、立民は今回、多数決で議決する可能性を示唆していた。
公明も賛成に回る方針を示す中、全会一致の慣例を極力温存したい安住氏の意向も踏まえ、自民の森山裕幹事長らは一時、議決時の「退席」を検討。これに反発したのが旧安倍派議員だった。
「退席はあり得ない。『年内決着』したはずだ」。旧安倍派ベテランは、昨年の政治資金規正法改正などで裏金事件は区切りが付いていると主張。こうした声に引きずられる形で、衆院予算委の与党筆頭理事を務める自民の井上信治氏は29日、招致議決で反対する方針を記者団に明らかにした。
31日からは衆院予算委の論戦が本格的に始まる。予算案について、政府・与党は参院送付から30日で自然成立する憲法の規定を意識。年度内成立を担保するため、3月2日までの衆院通過を目指している。
ただ、今夏の参院選などを見据える野党各党が、予算案の修正を視野に主張を強めるのは必至だ。「審議時間はたっぷり確保する。従来の常識で考えない方がいい」。立民幹部は早速、政府・与党をけん制した。
[時事通信社]
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