「通信の秘密」整合性焦点=脅威深刻化に政府危機感―能動サイバー法案、7日にも提出
時事通信 / 2025年2月2日 14時18分
政府は通信を平時から監視してサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」導入関連法案を7日にも閣議決定し、国会に提出する。サイバー空間の脅威は国の安全保障を脅かしかねないと危機感を強めており、早期成立を目指す方針だ。近く本格化する国会審議では憲法が保障する「通信の秘密」との整合性が焦点となりそうだ。
政府関係者によると、サイバー攻撃は今や日常と隣り合わせだ。年末年始には大量のデータを送り付ける「DDos(ディードス)攻撃」が続発。日本航空や三菱UFJ銀行、NTTドコモなどのシステムに障害が発生し、社会が混乱した。
軍事作戦でもサイバー攻撃を組み合わせた「ハイブリッド戦」が主流となり、ロシアのウクライナ侵攻ではインフラを狙ったサイバー攻撃が多発した。台湾海峡の緊張が高まる中、日本政府は「欧米と同等以上」の能力確保を目指している。
攻撃側はまず、インターネットに接続したパソコン、テレビ、冷蔵庫などさまざまな機器をマルウエア(悪意あるソフト)で乗っ取り、攻撃の「踏み台」網を構築。それらの処理能力を持ち主に気付かれないまま総動員し、瞬時に膨大な攻撃を仕掛ける。
被害発生後に対応に乗り出す既存の枠組みでは防ぎ切れないため、政府は踏み台網が構築される段階で無害化を目指す。通信の秘密は「公共の福祉」のため一定の制約が許されるとの立場だ。
政府は法案作成に当たり、通信の秘密やプライバシーへの配慮から透明性の確保に留意。通信監視から侵入・無害化まで一連の措置を原則として事前に審査する独立機関「サイバー通信情報監理委員会」を内閣府外局として新設し、実施状況を国会に報告して概要を公表すると規定した。
取得した情報からは攻撃コマンドの文字列などだけを機械的に抽出し、メール本文や画像など「コミュニケーションの本質的内容」は速やかに消去する。取得情報の不正利用や漏えいに4年以下の拘禁刑なども定めており、内閣官房幹部は「テロ対策や闇バイト対策ではない。そうした情報収集は行わない」と厳格さを強調している。
もっとも、懸念を払拭できたわけではない。野党内には「憲法に抵触しかねない」と反対論もくすぶる。立憲民主党や日本維新の会はサイバーセキュリティー能力の向上を掲げるものの、国会審議では政府の制度設計の妥当性を追及する構え。立民の野田佳彦代表は1月31日の記者会見で「憲法上の課題を乗り越えているかどうか、厳しく精査したい」と語った。
[時事通信社]
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