有力野党が「極右と協力」=強硬姿勢に批判、選挙戦に転機―独
時事通信 / 2025年2月2日 14時34分
【ベルリン時事】ドイツの保守野党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が、不法移民対策で極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」と協力したとして、「政界のタブーを破った」と批判を浴びている。23日の総選挙に向けてCDU・CSUが支持率首位を保っているが、選挙戦終盤に来て各政党の支持率が変動する転機となる可能性がある。
ドイツでは昨年12月にクリスマスマーケットに車が突入し、先月も子供がナイフで切り付けられるなど、移民的背景を持つ人物による殺人事件が相次ぐ。難民政策の見直しを求める世論の高まりを受け、CDUは国境管理の厳格化を求める決議案を連邦議会に提出。少数派の与党が反対する中、反移民を掲げるAfDの賛成票を受け入れて、1月29日に採択にこぎ着けた。
決議を主導したメルツCDU党首は、AfDの手を借りる格好になったことは「遺憾だ」と述べつつ、不法移民・難民問題に対する与党の行動力の欠如が招いた結果だと釈明。意図的な協力を否定した。
ただ、「タブー破り」に党内からも批判が出た。2015年に難民が押し寄せた際に寛容政策を導入したCDUのメルケル前首相は「誤りだ」と異例の声明を出した。
1月31日にはCDU会派が提出した移民の流入制限を目指す法案が僅差で否決された。決議案の採択で賛成票を投じた一部議員が棄権や欠席を選択したためだ。メルツ氏の強硬姿勢は右派や浮動票の取り込みを図ったものだが、中道層の離反を招く恐れが露呈した。
総選挙ではCDU・CSUが首位を走り、AfDは2位につける。いずれの党も単独過半数には届かず、CDU・CSUが支持率3、4位を争う中道左派・社会民主党(SPD)、環境政党・緑の党のどちらかと連立を形成すると見込まれている。
しかし、SPDを率いるショルツ首相は独メディアとのインタビューで、メルツ氏がAfDと連立を組む可能性を否定できないとの見方を示し、「もう彼を信用できない」と嘆いた。勢いづくAfDが、反極右で一致していた伝統的な主流派政党の分断を誘った形となった。
[時事通信社]
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