「ガザ住民の移住反対」=傷病者受け入れも―パレスチナ問題解決に逆行・エジプト
時事通信 / 2025年2月7日 18時13分
【ラファ(エジプト)時事】「ガザ住民の移住に反対」。パレスチナ自治区ガザとの境界に位置するエジプト北東部ラファ検問所のコンクリート塀には、至るところにこうした落書きがあった。同検問所は現在、ガザ住民にとって事実上唯一の域外への出入り口。イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦を受け、エジプトは1日からガザの傷病者の受け入れを開始したが、移住となれば事情は異なる。
エジプト政府の案内で記者は4日、ラファを訪れた。検問所で取材を続ける地元ジャーナリストのアフメド・アボデレアさん(47)によると、この落書きは1月31日に行われた抗議デモの際に書かれた。トランプ米大統領はエジプトに、戦闘で荒廃したガザからの住民受け入れを求めたが、反発したエジプトの国会議員らがデモを主導。立ち入りが厳しく管理される検問所周辺に大勢のデモ隊が集まり、ガザ住民の域外移住に反対を表明した。
トランプ氏は2月4日に行ったイスラエルのネタニヤフ首相との会談後の記者会見で、ガザ住民全員の域外移住構想を発表した。国際法で禁じられる強制移住につながるとの懸念が国際社会で拡大。エジプト外務省は6日の声明で、住民移住によってパレスチナ問題を消し去ろうとするいかなる構想も「完全に拒絶する」と断言した。
エジプトが移住を容認すれば、1948年のイスラエル建国で難民となったパレスチナ人が同国領内の故郷に帰還する権利を否定することになりかねない。パレスチナ和平に関し、難民問題の公正な解決を求めるアラブ諸国の立場とは逆行する。また、移住した住民がエジプト国内で対イスラエル抵抗運動を行えば、エジプトとイスラエルの関係が緊迫する可能性もある。
加えて、ガザでの戦闘は、エジプトの観光業やスエズ運河の通航収入に打撃を与え、経済が低迷。これまでも地域情勢が悪化するたびに近隣諸国から避難民が流入し、さらに移住者を受け入れる余裕がないのが実情だ。
検問所近くでガザへの支援物資の梱包(こんぽう)作業に従事するムハンマド・アボリームさん(52)は「ガザを去れば、二度と戻れなくなる」と危惧する。エジプト生まれのアボリームさんの両親は現在のイスラエル南部ベエルシェバ出身のパレスチナ難民で、故郷への帰還は果たせていない。ガザの親戚がエジプトで治療を受けられるよう願っているが、移住には反対だ。
アボデレアさんがラファ近郊の病院で取材した親子は、子供の治療が終わればガザに戻る考えだという。アボデレアさんは「ガザに仮設住宅の避難所を作り、住民が暮らしながら復興を進めるべきだ」と訴えた。
[時事通信社]
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