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ヨルダン川西岸で情勢緊迫=北部が「テロの温床」に―ガザ停戦で混乱拍車も・イスラエル専門家

時事通信 / 2025年2月9日 5時44分

 パレスチナ自治区ガザでイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦が維持される中、ヨルダン川西岸北部の自治区では逆に情勢が緊迫し、混乱に拍車が掛かっている。何が背景にあるのか。イスラエル軍情報機関アマンのパレスチナ部門の元責任者で、現在はテルアビブ大学「モシェダヤン中東アフリカ研究センター」のパレスチナ部門を統括するミハイル・ミルシュテイン氏に話を聞いた。

 ◇自治政府の権威失墜

 自治区ガザで停戦が発効した2日後の1月21日、イスラエルは西岸で新たな軍事作戦「鉄の壁」を始めた。イスラエル軍は2月2日、作戦前に行った空爆を含めて西岸北部の自治区ジェニン一帯で少なくとも50人の「テロリスト」を殺害したと発表。さらに、武装勢力の拠点だと主張するビル23棟を破壊し、作戦地域を拡大させている。

 西岸は各地にユダヤ人入植地があり、パレスチナ自治政府が完全に統治している地域は限定的だ。汚職が横行していると指摘される自治政府は住民の不信を招いている。特にジェニンでの権威失墜は著しく、武装勢力の台頭を許してしまった。このため、イスラエルはジェニンを「テロの温床」と見なしている。

 今回のイスラエルによる軍事作戦に先立ち、自治政府は2024年12月、支配権回復を目指して作戦を行った。しかし、武装勢力の一掃に失敗し、イスラエルが介入に踏み切った格好となった。ミルシュテイン氏は自治政府の治安維持能力の欠如を指摘し、「ガザ停戦に連動する形で西岸の緊張が激化している」と述べた。

 ◇ハマスが「対決」呼び掛け

 ハマスによる23年10月の奇襲後、イスラエルはパレスチナ人労働者の受け入れを拒否している。過去の合意に従って代理徴収した税金も、イスラエルは満額を自治政府に送金していない。パレスチナの経済状況が悪化し、住民の不満は高まる一方だ。

 こうした中、ハマスは西岸に向けて「占領者(イスラエル)との対決」を呼び掛けている。イスラエルはガザの停戦合意を受け、これまでに数百人規模のパレスチナ囚人を釈放した。ミルシュテイン氏は、この中に含まれる「テロリスト」が再び対イスラエル武装闘争に関与する恐れがあると推測する。

 また、イスラエルのネタニヤフ政権はユダヤ人入植者によるパレスチナ住民襲撃を実質的に放置したままだ。入植者の過激化を封じなければ「状況を燃え上がらせる可能性がある」というミルシュテイン氏の見方は現実味を帯びている。 

[時事通信社]

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