金利低い国債は慎重、インフレ一時的で円高予想=21年度下期・日本生命運用計画
ロイター / 2021年10月25日 19時34分
10月25日、日本生命保険は、2021年度下期の一般勘定資産の運用方針では、海外の社債などクレジット資産を中心に投資する計画だ。写真は同社のロゴ。2019年2月、都内で撮影(2021年 ロイター/Hideyuki Sano)
[東京 25日 ロイター] - 日本生命保険は、2021年度下期の一般勘定資産の運用方針では、海外の社債などクレジット資産を中心に投資する計画だ。米国債や日本の超長期債への投資は足元の金利水準が魅力的ではないとして慎重な姿勢を崩していない。インフレは一時的で日米金利差は徐々に縮小し、今年度末は現在よりやや円高になると想定。一部で割高感の生じている株式市場は調整局面が到来する可能性もあるとみている。
25日開催した運用方針説明会で明らかにした。
円金利資産は、円建て社債や通貨スワップを使って円金利化した外国社債を中心に増加予定だ。金利水準をみながら日本の超長期債にも投資する方針だが、現在の金利水準は魅力的ではないという。
日本生命の執行役員財務企画部長、岡本慎一氏は「現在販売中の平準払いの保障性商品の予定利率は0.8%を上回っており、足元の30年国債の0.6─0.7%の金利では、十分に魅力的とは言えない」と指摘する。
ヘッジ外債も引き続き国債より社債が中心で、下期は横ばい計画だ。米国債の10年物利回りは、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年以前は2%を超える時間帯が多かったが、現在は上昇したとはいえ1.5─1.6%の水準で「少し物足りない」(岡本氏)という。
為替ヘッジコストは現在、歴史的な低さだが、この水準が長期的に続くとは想定していない。国債よりも社債を中心としたスプレッドで利回りを確保することを中核戦略として維持する方針だ.
世界的なインフレについては一時的とみている。「インフレの要因はエネルギー価格の上昇と供給制約だ。海外企業へのヒアリングでは、今が一番厳しい状況であるが、能力増強投資などをしており、徐々に回復に向かっていくとの見方が聞かれる」(岡本氏)という。
オープン外債は減少の予定。日米金利差からドル高・円安になりやすい局面だが、インフレが落ち着けば、海外金利が一方向的に上昇する状況ではないとみている。今年度末のドル/円予想中心値は足元の113円台に比べ円高水準の108円としている。
日米株の今年度末の予想も、中心値で日経平均が2万8000円(2万8600円=25日)、米ダウで3万4500ドル(3万5677ドル=22日)と慎重だ。「市場全部が割高やバブルとはみていないが、割高に見える銘柄もある。企業業績は堅調だが、バリュエーション調整が起きる場面があるのではないか」と岡本氏は話す。
下期、外国株はオルタナティブなどに増加の予定だが、国内株は横ばいの見通しだ。
上期の一般勘定資産は1兆1800億円増加。円建て社債や通貨スワップを使って円金利化した外国社債、超長期国債など国内債券等が1兆4100億円の増加、ヘッジ外債が4300億円の増加。円金利以外の運用資産は、オープン外債が4900億円の減少、国内株等が2000億円の減少、外国株等は900億円の増加となった。
上半期末の含み益は、株価の上昇で、前年度末から3800億円増加し、過去最高の12兆7000億円となった。
21年度下期の相場見通し(年度末のレンジと中心値)は以下の通り。▼はマイナス
日本国債10年物利回り ▼0.25―0.25%(0.10%)
米国債10年物利回り 0.70―2.40%(1.50%)
日経平均 2万3000―3万3000円(2万8000円)
米ダウ 2万9500─3万9500ドル(3万4500ドル)
ドル/円 98―118円 (108円)
ユーロ/円 113―139円 (126円)
(伊賀大記 編集:内田慎一)
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