ホンダ、AIが事故予兆検出する世界初の技術 20年代後半に実用化
ロイター / 2021年11月25日 18時23分
11月25日、ホンダは自社の四輪・二輪が関わる交通事故死者ゼロの実現に向けて開発中の人工知能(AI)を活用した2つの技術を発表した。東京都で2019年2月撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-hoon)
[東京 25日 ロイター] - ホンダは25日、自社の四輪・二輪が関わる交通事故死者ゼロの実現に向けて開発中の人工知能(AI)を活用した2つの技術を発表した。1つは個人の運転能力などに起因する事故の予兆をドライバーに知らせる技術で、20年代前半に要素技術を確立し、20年代後半の実用化を目指す。
ホンダは現在、AIを自動運転機能を持つ車の制御を目的としたカメラの認識機能に使っているが、新技術では人の運転に生かす。同社によると、AIが事故のリスクを自動検出し、ドライバーの状態や場面に応じた最適な行動を導き出し運転を支援する技術は世界初という。
もう1つの技術は歩行者・四輪・二輪など交通参加者すべてを通信でつなぎ仮想の道路交通環境をサーバー上で再現、AIでリアルタイムに事故のリスクを推定して交通参加者に最適な支援情報を配信し、事故を避ける行動を促すネットワーク技術。20年代前半にシステムを構築・効果を検証し、国や他社も巻き込んで30年以降に社会実装したい考え。
同社は衝突軽減ブレーキなどの搭載車の拡大に加え、これら開発中の技術や安全教育の強化により、全世界でホンダ車が関わる事故死者を30年に半減、50年にゼロを目指す。本田技術研究所の大津啓司社長は「事故死者ゼロは確実に守る目標。最重要課題として(安全技術の開発に)資源を投入する」と述べた。
ホンダ経営企画統括部安全企画部の高石秀明部長は、従来は一律の安全技術を提供してきたが、今後は「1人ひとりに合わせた安心を新たな価値として提供する」と説明。衝突軽減ブレーキなどはリスクに直面してから回避するが、新技術はそもそも「リスクに近づかせない」と話した。
同社はMRI(磁気共鳴画像)機器を用いてドライバーの視線の量や特徴、運転のうまい人・下手な人の脳の活動を見ながらその因果関係を解明する研究を進めている。この研究をもとに、センサーやカメラで周辺を把握し、人それぞれのリスクをAIが検出して運転支援する。例えば、見落とした歩行者の存在をシートベルトを締め上げて知らせたり、居眠りの際は座席の背もたれが振動して覚醒させたりする方法などを開発中だ。
日本では特に高齢者の運転操作ミスによる事故が目立ち、トヨタ自動車やSUBARUなど各社が安全技術の開発を急いでいる。マツダもドライバーの異常や居眠りを検知し、車を安全な場所に自動で退避・停車させる技術を来年から新車に搭載する予定。
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