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アングル:ブラジル、G20議長国就任控えリオの治安に懸念 暴力事件相次ぐ

ロイター / 2023年11月26日 8時14分

 警官が猛るサッカーファンに警棒を振るい、競技場のスタンドでは母親の腕に抱かれた子どもたちが泣いている。写真は21日、リオデジャネイロのサッカー場で子どもを避難させる男性(2023年 ロイター/Ricardo Moraes)

Gabriel Stargardter

[リオデジャネイロ 22日 ロイター] - 警官が猛るサッカーファンに警棒を振るい、競技場のスタンドでは母親の腕に抱かれた子どもたちが泣いている。頭を抱え込んだ男の顔面は血まみれだ。

ブラジルの主要都市リオデジャネイロで21日に行われたサッカー2026年ワールドカップ(W杯)南米予選のブラジルとアルゼンチンの試合では、両国のファン同士が衝突して警察が介入、こうした衝撃的なシーンが繰り広げられた。

ブラジルは12月1日に20カ国・地域(G20)議長国の座をインドから引き継ぐ予定で、来年11月18―19日に予定されるG20首脳会議に向けて準備を進めている。しかしリオは今回のサッカーファンの暴動以外にも、米人気歌手テイラー・スウィフトさんのコンサート会場で観客女性が死亡したり、10月に一般市民がギャングに惨殺されたりするなど不穏な事件が連続して発生しており、治安の悪化が目立っている。

ブラジルは政治的混乱や過去数十年で最悪の不況に見舞われながらも、14年にサッカーW杯決勝、16年にリオ五輪を開催しており、注目度の高いイベントを主催する経験を持たないわけではない。

しかしリオは治安の悪化が進んでいる上、この数週間にいくつかの大きなイベントで混乱が相次いでおり、既にG20首脳会議の準備に入っている主要経済国の代表は懸念を抱きそうだ。

リオが記録的な熱波に襲われた17日に同地で開かれたスウィフトさんのコンサートでは、会場で若い女性が死亡した。観客の間では水が不足しているという不満の声が広がっていた。

次いで21日にはスウィフトさんのコンサート会場に近いマラカナ競技場で行われたブラジル対アルゼンチンの試合で暴動が発生し、試合開始が30分遅れた。テレビにはリオ州の警官がアルゼンチンのファンを警棒で殴りつけ、椅子が乱れ飛ぶ映像が流れた。小さな子ども連れの家族は恐怖のあまり逃げ惑った。

ブラジルサッカー連盟(CBF)とリオ州軍警察はブラジルとアルゼンチンのファンの座席を分けなかったことを巡り非難の応酬を繰り広げた。連盟は、軍警察は座席が混ざっているセクションがあることを十分に認識していたし、連盟は当局と事前に合意した警備・作戦計画を「厳格に遵守した」と主張。一方の軍警察は、連盟が各国のファンを分けずにチケットを販売したと批判し、スタジアム内の警備は連盟が業務を委託した民間業者の責任だとしている。

既に今月、クラブ南米王者の座を争うコパ・リベルタドーレスの決勝戦後、リオのコパカバーナビーチでボカ・ジュニアーズ(アルゼンチン)のファンに警察が暴力を振るう事件も起きていた。

駐ブラジル・アルゼンチン大使は当時SNSに「コパカバーナで見られたような残忍な弾圧は絶対に正当化できない」と投稿している。

G20のような重要イベントは厳重に計画され、万全なセキュリティー態勢が採られるものだが、リオの治安悪化によってブラジルは国際舞台でアピールする貴重な機会が台無しになりかねない。

ブラジルのルラ大統領は今月初め、リオの主要空港と主要港に一時的に軍隊を配置し、一連の暴力事件の背後に潜む「ミリシアス(民間武装組織)」と呼ばれる強力な麻薬組織や暴力マフィアの弱体化を図った。暴力事件の多発はルラ大統領の支持率が低下する要因となっている。

10月にはリオのビーチで深夜にビールを楽しんでいた医師3人が、ギャングに敵対組織のメンバーと間違われて惨殺された。さらにその数日後にミリシアスは、ボスの1人が警察に殺害された報復として、リオのバス数十台に放火する事件も起こしている。

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