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アングル:米FRB、10年後MBS残高6000億ドルと予想 削減に苦慮

ロイター / 2024年9月25日 15時14分

 米連邦準備理事会(FRB)が9月20日発表した分析リポートによると、長期金利が今後どのような水準で推移しても、FRBによる住宅ローン担保証券(MBS)の保有残高は10年後に最大で6000億ドルに及ぶ可能性がある。ワシントンで2022年6月撮影(2024年 ロイター/Sarah Silbiger)

Michael S. Derby

[23日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が20日発表した分析リポートによると、長期金利が今後どのような水準で推移しても、FRBによる住宅ローン担保証券(MBS)の保有残高は10年後に最大で6000億ドルに及ぶ可能性がある。FRBは債券ポートフォリオを米国債中心にすることを目標に掲げており、MBSをアウトライトで売る(売り切り)案が現実味を帯びるかもしれない。

リポートによると、今後の長期金利がFRBの6月時点の見通しパスに比べて高い場合、低い場合、同じ場合のいずれでも、毎月のMBS償還時に資金を再投資しないという方法で保有残高を減らすのは難航しそうだ。FRBが保有するMBSの金利は極めて低いため早期償還リスクがほとんど存在せず、国債とは事情が異なるからだ。

分析リポートの筆者らによると、FRB保有のMBSのほぼ全部が金利は4%未満で、現在の利回りを大幅に下回っている。つまり、債券の裏付けとなる低金利の住宅ローンを抱える住宅所有者はローンを借り換えたり、住宅を買い替えたりする可能性が低い。いわゆる「ロックイン効果」の状態にある。

筆者らは「住宅ローン金利が著しく下がったとしても、こうした動向に大きな影響を及ぼしそうにない」と書いている。

FRBは2022年以降、新型コロナウイルス危機対応の大型金融緩和で拡大したバランスシートを縮小する「量的引き締め(QT)」を実施してきた。保有国債とMBSの償還後に再投資しない方法を採っており、債券保有残高はピーク時に9兆ドルに上ったが現在は7.2兆ドルにまで減った。

<容易に減らないMBS>

QTは金融政策の正常化プロセスの一環だ。FRBの狙いは、短期金利を確実にコントロールすることが可能で、かつ短期金融市場が正常なボラティリティ正を取り戻すとみなされる水準まで流動性を削減すること。ただ、そのためにバランスシートをどの程度まで減らす必要があるかは依然不明だ。

また、FRBは保有する債券を主に国債とする従来の方針に戻したい意向。7月時点の市場参加者の予想では、QTは来年4月に終わりそうだが、それ以降もMBSの償還資金を再投資しない措置は続けるとみられている。

FRBはまた、QTを金利調節の政策から切り離そうとしている。金利調節に関してFRBは、18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の誘導目標を50ベーシスポイント(bp)引き下げると決定し、これを皮切りに一連の利下げが実施される見通しとなっている。

QT進捗のけん引役は米国債だ。一方、MBS保有残高はピーク時の2.7兆ドルから2.3兆ドルに減ったに過ぎない。同リポートによれば、長期金利が初夏の予想通りに低下すればMBS保有残高は30年末までに1.2兆ドル、35年末までに7000億ドルに減少する。ただ、長期金利が予想より低い場合、30年の予想水準に影響はないが、35年末までに6000億ドルに減る可能性があるという。

FRB当局者はMBSのアウトライト売りの可能性について依然多くを語っていないが、そうした案は消えていない。調査会社LHマイヤーのアナリスト、デレク・タン氏はリポートを踏まえ「FRBはたとえ小規模であっても売却をより真剣に検討しようという気に駆り立てられるかもしれない」と話している。

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