アングル:AIも苦戦、テーマ型ETF「冬の時代」 指数連動型にシフト
ロイター / 2024年10月25日 15時29分
10月22日、 AI(人工知能)、ロボット、太陽光エネルギー、ビデオゲームなど様々な特定分野に投資するテーマ型ETF(上場投資信託)から資金が流出している。ウオール街で2016年12月撮影(2024年 ロイター/Andrew Kelly)
Suzanne McGee
[22日 ロイター] - AI(人工知能)、ロボット、太陽光エネルギー、ビデオゲームなど様々な特定分野に投資するテーマ型ETF(上場投資信託)から資金が流出している。投資商品情報サービスのモーニングスターによると、3年連続で純流出となる見込みでテーマ型ETFは「冬の時代」との声も出ている。資金が向かう先は指数連動型ファンド。米株価指数が最高値を更新していることが背景だ。
株ETF全体では資金流入が拡大している。しかし1080億ドル規模のテーマ型ETFは今年、58億ドルが流出し、2023年通年の48億ドルを超えたとモーニングスターは指摘する。
テーマ型ETFの魅力を低下させている要因の一つが主要株価指数の上昇だ。S&P総合500種指数は年初から22%以上上昇している。S&P500指数やナスダック100指数に連動する5大ETFには今年、1700億ドル流入。SPDR・S&P500ETFトラストは17日にETFとしては初めて資産規模が6000億ドルに達した。
市場調査会社CFRAのETFアナリスト、アニケット・ウラル氏は「テーマ型という投資コンセプトが好まれなくなったわけではない。一握りの巨大企業が牽引(けんいん)する強気相場で、どのテーマも目立つのが難しい」と指摘した。
<上級者向け>
モーニングスターのETFアナリスト、ブライアン・アーマー氏は、テーマ型投資の性質そのものにも課題があると指摘する。
その一つは投資のタイミングだ。テーマ型ETFの投資家はタイミングのまずさで5年間のリターンの3分の2を逃していることがモーニングスターの調査で分かった。
「適切なテーマを選び、ファンドがそのテーマで最も恩恵を受ける株式を組み入れていることを確認し、さらに適切なタイミングで購入する必要がある。これら全てをきちんと実行するのは難しい」とアーマー氏は語る。
エヌビディア株を多く保有するAI特化のETFでさえ資産維持が難しい。グローバルXのロボティクス・AI・ETFは過去12カ月に差し引き8900万ドル流出した。このETFの投資構成はエヌビディアが約13%と、S&P500指数におけるウエートのほぼ2倍だが、過去1年間のパフォーマンスはS&P500指数と同程度にとどまる。
グローバルXの31のテーマ型ファンドのうち19が過去1年間で流出超だった。同社のテーマ型投資の責任者アレリス・アゴスト氏は「長い目で見ている」と述べ、テーマ型投資には長期でメリットがあると指摘した。
「破壊的イノベーション」を約束する企業に投資するキャシー・ウッド氏のARKイノベーションETFは、年初から26億ドルが流出。モーニングスターによるとテーマ型ETFの中で最も流出額が多い。パフォーマンスも振るわず、今年9%以上下落している。
手数料の高さも投資家を遠ざける一因。ETFの平均手数料率が0.49%なのに対し、テーマ型は0.62%。指数連動型はステート・ストリートのS&P500ETFが0.09%、ブラックロックのiシェアーズ・コアS&P500ETFが0.03%でその差は歴然だ。
モーニングスターによると、今年い入り新規設定されたテーマ型ファンドは13。23年は39だった。一方、閉鎖数は36ですでに23年通年の32を上回っている。
こうした中、昨年12月以来18のETFを設定しているThemes ETFsは「S&P500指数採用の巨大企業が今日のようなパフォーマンスを提供しなくなったとき、焦点はテーマ型ETFに戻る」とみている。
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